瀬戸内寂聴さん「アベ政治を許さない」呼びかけ 訃報はくしくも「安倍派」復活の日

寂聴さんは市民運動にも注力した。右は安倍晋三元首相(東スポWeb)

作家の瀬戸内寂聴さんが心不全のため死去したとのニュースが11日正午過ぎ、各メディアで報じられた。亡くなったのは9日、99歳だった。執筆活動を続けてきた現役作家の大往生に、SNSを通じてお悔やみが続々と発信されている。

不倫に離婚、作家井上光晴との壮絶な恋愛を経て出家…。瀬戸内晴美の名で小説を書いていた当時の寂聴さんは、波瀾万丈を絵にかいたような激動の半生を送った。2016年に村川絵梨、林遣都らの出演で公開された映画「花芯」は、1957年に寂聴さんが執筆した同名作が原作。映画化作品公式サイトではこの小説を「発表当時、著者に『子宮作家』のレッテルが貼られ、以後、長く文壇的沈黙を余儀なくされた」と紹介している。

改名後は数々の文学賞に輝き、文化勲章も。一方で91年の湾岸戦争に際しては断食に訴えて即時停戦を願った。

市民活動の場にも出ていた寂聴さん。作家の澤地久枝さんら文学者も声を上げた「アベ政治を許さない」では、行動の呼びかけ人に名を連ねていた。

くしくも寂聴さんの訃報が流れる直前、「アベ政治」を主導した安倍晋三元首相が自民党細田派に復帰し、会長就任により名称が「安倍派」となったニュースが流れた。派閥の正式名である「清和政策研究会」では、安倍氏の父・晋太郎元外相が91年まで第2代会長を務めており、安倍氏の第10代会長就任で30年ぶりの〝安倍派〟復活となる。このタイミングは偶然だが因縁めく…。

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