【フィギュア】過去最大級の進化! 〝かなだい〟が結束強めた米国での感性の磨き合いとは

高橋大輔(右)と村元哉中(東スポWeb)

フィギュアスケートのアイスダンスで北京五輪出場を目指す〝かなだいカップル〟こと、村元哉中(28)と高橋大輔(35=ともに関大KFSC)が大進化を見せている。結成2季目の2人は、グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯(12~14日、東京・代々木第一体育館)に登場。アイスダンス関係者からは「過去最大級の上昇度」との声も漏れている。その原動力となった米フロリダでの感性の磨き合いとは――。

11日の公式練習に高橋は深緑、村元は赤の衣装に身を包んで登場。2人が氷上練習を始めると、北京五輪出場1枠を争うライバルたちは横目でチラチラと気にしていた。小松原尊とカップルを組む小松原美里(ともに倉敷FSC)は「刺激は…予想していたけどある」と漏らすなど、周囲の視線を独占した。

ここまで注目を集めるのは、高橋のネームバリューだけではない。フリーダンス「ラ・バヤデール」の曲かけ練習では昨季よりはるかに進化したツイズル(多回転ターン)、リフトを披露。この演技を目にした関係者は「進化がえぐい」と表現したほどだ。米フロリダで行われた今季初戦の競技会では国際スケート連盟非公認ながら、合計214・44点というハイスコアをマーク。

村元は「国際試合がそんなに甘くないのは承知の上」としつつも「演技を見て良かった印象があったからこそ、高い点をいただけたと思ってる。国際大会のジャッジの方にも良い評価をもらえるように頑張りたい」と抱負を口にした。一方の高橋は「リフトの安定感だったり、滑っている時の距離感、組んだ時のポジショニング…たくさん成長してきたと思います」と自信をみなぎらせた。

練習拠点のフロリダでは結束力も強化。時として互いの意見をぶつけ合って理解度を高め、衝突と解決を繰り返して絆を強めた。また、2人は支援を受けるスカイコート株式会社の「ぬり絵コンテスト」で特別審査員を務め、練習の合間にリモートで多くの応募作品を鑑賞。それぞれ1作品ずつ特別賞を選ぶと、その2作品の描き手が兄弟だったという〝奇跡〟も起きた。

村元は「本当にビックリ!」、高橋は「過ごしていく中で感性が似てきたのかも」と偶然の一致に驚くばかり。2人も塗り絵に挑戦して互いの作品を寸評し合うなど、氷上以外のコミュニケーションで着実にコンビ力を磨いてきた。実際、村元は「気分転換になった」と競技への好影響を口にしている。

カップル結成以来、目標に掲げてきた北京五輪出場。当初は「夢のまた夢」だったが、今では確実に手の届く位置にある。世界の強豪は手ごわいが、少なくとも上昇度はナンバーワンだろう。

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