プラスチックから肥料を生成するサステナブルなリサイクルシステムを開発

植物原料のプラスチックをアンモニア水で分解することで、植物の成長を促す肥料(尿素)に変換するリサイクルシステムが開発された。東京工業大学、東京大学、京都大学との共同成果。

現在、プラスチックは70%以上が廃棄されており、リサイクルは15%以下にとどまっている。こうした中、本研究者らは、カーボネート結合を有するプラスチック(ポリカーボネート)がアンモニアと反応して完全に分解されると化学肥料となる尿素に変換できることに着目。中でも、グルコース(糖)由来のバイオマス資源であるイソソルビドを連結して得られるポリカーボネートは、尿素とイソソルビドに分解できるため、プラスチックを出発原料まで戻して再利用する「ケミカルリサイクル」に加えて、肥料へもリサイクルすることができる。

本リサイクルシステムのアイデアの実証実験では、最終的に、アンモニア濃度や反応温度といった条件を最適化することで、糖由来ポリカーボネートを6時間以内に尿素とイソソルビドへと完全に分解できるようになった。得られた分解生成物(尿素とイソソルビドの混合物)を用いたシロイヌナズナの生育実験では、尿素が肥料として働き、植物の成長促進につながることが実証された。

アンモニア水を加熱するだけで反応を促進でき、高価な触媒を必要としない簡便なプロセスであることも、このリサイクルシステムのメリットだ。普及すれば産業界への波及効果も大きいとみられる。

本リサイクルシステムは、「プラスチックの廃棄問題」と「人口増加による食料問題」を同時に解決する革新的なシステムとして期待される。

論文情報:

【Green Chemistry】Plastics to Fertilizers: Chemical Recycling of a Bio-based Polycarbonate as a Fertilizer Source

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