揚げ油は何回再利用できる?油が劣化しているサインと正しい保存方法

料理には欠かせない油。サクッと揚がった天ぷらや唐揚げなど揚げ物はおいしいけれど、食べ過ぎると健康面での影響が気になります。

また、揚げる時に必要になる大量の油。一度使用した揚げ油は、あと何回再利用できるのでしょうか。

揚げ油を再利用する際の注意点や、油の劣化を見分ける基準、鮮度を保つ保存方法など、毎日使うものだけど意外と知らない油の取り扱い方について、日清オイリオに聞きました。


油は身体に必要な栄養素

脂っこいものを食べると胃がもたれたり、摂取しすぎると高コレステロールや肥満につながるなど、なにかとネガティブなイメージがつきまとう油ですが、実は脂質は、炭水化物、タンパク質に並ぶ三大栄養素のひとつ。健康を保つのに欠かせない栄養素です。

「油の主成分である脂肪酸には、エネルギー源としての役割と、身体の組織を正常に機能させる働きがあります」と教えてくれたのは、日清オイリオ・コーポレートコミュニケーション部広報課の岩松里佳子さん。

とりわけ植物油には、人間の体内では作られず食物から摂らなければならない「必須脂肪酸」が多く含まれています。その中でも「オメガ6、オメガ3系脂肪酸については、血中コレステロールを上げにくくしたり、血中中性脂肪を下げたりする機能があると言われています。また、冠動脈疾患の発症予防に関する報告もあります」。

とはいえ、必要以上に摂取すると余分なエネルギーとなって体に蓄積されるため、肥満につながります。「30〜40代以下の方の平均的な脂質摂取量は、国が示す目標量の上限に近い状況です。適量摂取を心がけることが大切です」。

鮮度を保つ「油の正しい保存方法」

適量を守るほか、油を摂取する際にはその鮮度も気にかけた方がいいといいます。というのも、油は光、高温、酸素(空気)、金属などと接触することで酸化が進み、それによって傷んだ油は体に悪影響を及ぼすことがあるからです。

誤った保存方法は油の劣化を早めます。鮮度を保つための正しい保存方法について教えてもらいました。

【油の正しい保存方法】

1.直射日光や蛍光灯の光を避ける(冷蔵庫での保管は不要)。
2.温度の高い場所は避ける。
3.開栓したら、きちんとキャップをしめる。
4.開栓したら、なるべく早めに使い切る(1〜2ヵ月が目安)。

「賞味期限は長いですが、油は生ものです。開栓後はキャップをしめていても、空気に触れやすいため酸化が進みます。正しい方法で保存し、1〜2ヵ月で使い切ることをおすすめします」。

そのため、ひとり暮らしなどで油の使用量が少ない場合は、1〜2ヶ月で使い切れる小容量タイプを購入するのがおすすめ。また開封後も油を酸化から守るフレッシュキープボトルなど、鮮度にこだわった容器を選択するのもひとつの手です。

揚げ油は何回再利用できる?

唐揚げや天ぷらなど、揚げ物をする時は大量の油が必要になります。使用後の揚げ油、どうしていますか。一度しか使っていないのに捨ててしまうのはもったいないですよね。使用後の揚げ油は、適切に処理すれば再利用できるそうですが、その際の注意点について聞きました。

【揚げ油を再利用する際の注意点】

1.油を鍋に入れたまま放置しない
「長時間鍋に入れたままにしておくと、空気に触れやすく、ゴミや虫が入る原因にもなります」。
2.冷めないうちに処理する
「揚げカスは、油を早く傷める原因になります。冷めないうちに油こし器でろ過してください。 またこの時、やけどに注意してください」。
3.容器に入れてきっちり蓋を閉める
「ろ過した油が冷えたら、蓋をきちんと閉め、冷暗所で保存してください」

油の種類や揚げ種、温度、時間などによって異なり、一概には言えないものの、一度使った揚げ油を再利用する回数の目安は最大3〜4回。とはいえ、使用回数で判断するのではなく、油の状態をよく確認することが大切です。次のような状態になっている場合は、油が劣化しているサインなので使用を控えた方がいいといいます。

【油が劣化しているサイン】

1.加熱時に枯草や塗料のような不快な臭いがする。
2.色が濃くなる。
3.揚げ物をすると、消えにくい泡(カニ泡)ができる。
4.温度が下がったときに、ねばりが出ている。
5.天ぷらを揚げる温度の180℃くらいで煙が出る。
(※新鮮な油は230~240℃まで煙は出ません)

なんとなく再利用したり、なんとなく処分していた油。劣化しているかどうかを見極める目安がわかれば、安心して使うことができますし、節約にもつながります。揚げ物を作る際に役立ててみてはいかがでしょうか。

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