ホンダF1田辺TD予選後会見:最速こそ逃すも「トップ5に3台が入ったことは評価」ライバルのICE交換には複雑な思い

 2021年F1第19戦ブラジルGP予選でのレッドブル・ホンダは、前戦メキシコGPに続いて最速の座をメルセデスに奪われた。それでもホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは、「トップ5に3人のホンダドライバーが入ったことは評価できる」と総括した。

 一方でルイス・ハミルトン(メルセデス)が今季5回目となるICE(エンジン本体)の交換で5グリッド降格のペナルティを受けることについては、「この状況が我々に有利に働かないはずはない」とコメントしつつ、「メルセデスがしのびない気持ちになっていることは容易に想像できる」と、ライバルの心中を慮っていた。

────────────────────

──ブラジルGPの初日は、終始どんよりと曇り空でした。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):60分間のフリー走行では途中で雨が降ってきたりして、どうなることかと思ったりしましたが、なんとかドライ路面のまま走ることができました。チームはタイヤの使い方や燃料搭載量比較など、短い時間のなかでいろいろなトライをしていました。4台ともに順調に練習走行を終えて、車体、パワーユニットともにセッティングを詰めることができました。

──1回目のフリー走行終了後は、マシンに作業ができなくなります。

田辺TD:はい。パワーユニット側もエンジンモードは動かせません。ですので、そこまでにデータを決める必要がありましたが、作業はうまく進められたと思います。

──予選結果についてはどう見ていますか?

田辺TD:最速タイムこそ出せませんでしたが、トップ5内に3台が入ったことは評価できます。角田(裕毅)選手は残念ながらQ3進出を逃しましたが、初めてのサーキットで60分間のフリー走行のみで予選に臨むという条件、そのなかでもしっかりとタイムを上げていき、予選でも良い走りができていたと思います。

2021年F1第19戦ブラジルGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第19戦ブラジルGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

──インテルラゴスは変わりやすい天候も有名です。

田辺TD:特に決勝レースは路面温度が上がるという予報もあるので、今日の外気温、路面温度から判断して、どう対応していくか。前戦メキシコGPは3日間安定したコンディションでしたが、今回は違う要素が入っているのは確かです。

──ライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)がエンジン交換で5グリッド降格となります。

田辺TD:メルセデスと激しくタイトル争いを繰り広げているなか、他人の不幸を喜ぶわけではないですが、この状況が我々に有利に働かないはずはない。ただしスプリント予選、決勝レースと、まだまだ先は長い。ライバルのペナルティがどう影響してくるか、現時点ではまだはっきりとは見えません。

 一方で同じパワーユニットマニュファクチャラーとしては、ここでまたエンジンを交換することで、彼らがしのびない気持ちになっていることは容易に想像できます。メルセデスはこれまで信頼性とパフォーマンスの両方を誇ってきただけに、少し『あれ?』という気持ちはあります。

 ただ、これだけ複雑な機構を持っていますので、ほんのちょっとしたことでバランスが崩れてしまいます。それが使い方から来るのか、設計なのか、製造なのか何とも言えませんが、ギリギリを攻めて、最高を追い求めるなかで出てきた問題なのだろうと思っています。『あのメルセデスが』と思う反面、『それはありうるよな』という気持ちもあります。

2021年F1第19戦ブラジルGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第19戦ブラジルGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第19戦ブラジルGPの予選トップ3

© 株式会社三栄