屋内退避やヨウ素剤配布 原発事故想定し訓練 上越市など

 県は13日、上越市、妙高市、柏崎市などで、東京電力柏崎刈羽原子力発電所での原子力事故を想定した避難訓練を行った。上越市では同原発から30キロ圏(UPZ)にある吉川区の住民を対象にした屋内退避やヨウ素剤配布、集団での避難訓練が、妙高市では柏崎市からの避難者の受け入れなどが行われた。

 上越市では、吉川区の住民の一部を対象に、いったん屋内退避した住民を吉川小に集めてヨウ素剤を配布、その後大型バスでユートピアくびき希望館(頸城区)まで避難し、スクリーニングなどを行った。同校にはビニール製の雨がっぱやゴーグルを着けた住民約40人が集まり、希望館では東京電力の関係者から全身のスクリーニングを受けた。

付着した放射性物質の線量を測定する「スクリーニング」(ユートピアくびき希望館)

 視察したUPZ8市町の市議・町議有志でつくる「柏崎刈羽原発UPZ議員研究会」の牧田正樹副会長(上越市議)は「訓練のため参加者数も限られており、職員も落ち着いてやっていた。しかし有事の際はこれでは済まない。早く逃げたいという心理も働く。あらためて心配になった」と話していた。

◇海自艦船で海上輸送も 直江津港

 上越市の直江津港では、海上自衛隊の輸送艦で柏崎市民を輸送し、港から陸上自衛隊の車両で妙高市の避難所まで送り届ける訓練が行われた。

 当日は海上の天候が思わしくないため人の輸送は行われなかったが、海自の輸送艦「くにさき」が柏崎市から陸自の車両2台を搭載して直江津港に接岸した。

柏崎市の中央海水浴場を出発し、直江津港に入港した海自の輸送艦「くにさき」(直江津港)

 視察した花角英世知事は「関係機関との評価分析をする必要があるが、基本的な手順などは想定通りできたと思う。いろいろな場面を想定し、応用力や対応力を高めていく」と述べた。

 柏崎市の桜井雅浩市長は「柏崎刈羽における最悪の状況は、冬場・夜間・積雪で荒天。そうした状況を想定しながら、どの機関の支援を受けるかを考え、避難訓練を続ける」とした。

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