【神奈川高校野球】東海大相模・門馬前監督が退職「まだまだ自分を鍛えたい」

今春の選抜大会を含め、春夏4度の日本一に輝いた門馬さん=3月、甲子園

 高校野球で春夏4度の日本一に輝いた東海大相模高前監督の門馬敬治さん(51)が今秋限りで同校を退職した。すでに退任が決まっていた夏の神奈川大会は、部内で新型コロナウイルスの集団感染が発覚し途中辞退。選手と戦い抜けなかった悔恨の念は残るが、「後ろ向きに歩きたくはない」。愛する高校野球から離れて3カ月。熱き思いが、再びこみ上げている。

 11月初旬。門馬さんは横浜スタジアム(横浜市中区)にいた。長男・大さんをはじめ、多くの教え子が出場していた大学野球の関東地区選手権を観戦。「外から見る野球は気分が違いますね」。柔和な表情で勇姿を見届けた。

 甲子園で春夏連覇を目指し、好スタートを切ったはずだった。7月22日に選手1人の陽性が判明。PCR検査で計22人の感染が発覚し、準々決勝前夜の23日に辞退が決まった。

 陽性者は宿泊療養施設へ。寮に残っていた選手も経過観察後、自宅に戻った。新チームが始動するまでの約3週間、部活動は停止となった。

◆最後のミーティングは

 門馬さんと妻の七美枝さんは保健所との連絡や寮生の対応に追われる日々。「とにかく健康を取り戻して通常の生活に戻してあげたかった。先のことなんて考えられない。苦しい時間だった」。大会前も部員の体温を毎日チェックし、記録を残してきた。練習量も調整するなど、感染対策にでき得る限りの注意を払った。「完璧はないし答えもない。でも勝負事と同じで結果が全て。やり切れなかった。コロナ、高校野球の全てに悔いが残った」と振り返る。

 健康上の理由で監督を退任し、母校も離れたが「まだ終わってない部分はある」とも言う。3年生全員がそろった最後のミーティングは実現していない。出場辞退を伝えたのはLINE(ライン)のメッセージ。「やっぱり顔を見て、目を見て話をしたい。それができて一つの区切りになるのかもしれない」と話す。

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