宮古島への弾薬搬入「平和の妨げになる」 市民らが危機感、撤去訴え 

 陸上自衛隊は14日、沖縄県の宮古島駐屯地に配備されている地対空、地対艦ミサイルなどの弾薬を海路で島へ移送し、保良訓練場へ搬入した。時折強い雨が打ち付ける中、平良港や保良訓練場前では駆け付けた市民らが「ミサイルは平和の妨げになる」と声を上げ、撤去を訴えた。
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 弾薬は訓練場までトラック移送された。火薬類を積んでいることを示す赤地に「火」の標識を付けた自衛隊の車列が、人出でにぎわう商業施設前を通過した。週末の市街地を縦断し、周囲は物々しい雰囲気に包まれた。
 ミサイルなどの弾薬を積んだ海上自衛隊の輸送艦しもきたは、午前7時半ごろ平良港に着岸した。弾薬を載せたとみられるコンテナを積んだ運搬車15両などを順次岸壁に降ろした。
 ふ頭のゲート前では自衛隊配備に反対する住民らが、地面に死者のように横たわって抗議の意思を示す「ダイイン」を行い、移送に強く抵抗した。警察官が「道路交通法違反」として排除し、午前11時ごろに車両は港を出発した。保良訓練場前でも住民らが座り込み、搬入に強く抗議した。警察官らが住民らを排除した後にトラックが続々と基地に搬入し、午後1時10分すぎには移送が完了した。
 保良地域では第2次世界大戦中、日本軍が荷車で弾薬を移送中に爆発事故が発生し、幼い子どもらが亡くなる事故があった。座り込みに参加した市城辺の農家の男性(80)は「高齢者は当時のことを知っており、配備に反対の人が多い。説明会がないまま搬入されるのは問題だ」と批判した。搬入後に「ミサイル・弾薬庫配備反対住民の会」の下地博盛共同代表は「きょうから不安の中で暮らすことになる」と、住民の心情を代弁。防衛力の“南西シフト”が強まることに「米中の代理戦争の場となる危険を、なぜ沖縄が引き受けないといけないのか」と批判した。
 
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