スペースX、スターリンク衛星53基の打ち上げ成功 霧の中から打ち上がり幻想的な風景に

スペースXは、現地時間11月13日、同社のインターネット通信衛星「スターリンク」53基の打ち上げに成功しました。

打ち上げは、アメリカ・フロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍基地40番発射台で行われ、ファルコン9ロケットが宇宙へ向かいました。本来ならば、前日の打ち上げ予定でしたが、天候不良のため1日延期されていました。

【▲霧の中から打ち上がるスターリンク衛星53基を搭載したファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】

また今回は、非常に幻想的なロケットの打ち上げでした。スペースXが実施したライブ中継映像を見ると、フロリダ一面に広がる霧の中からファルコン9ロケットが打ち上がる神々しい様子が確認できます。打ち上げ前も、霧の中にロケットの先端部分であるフェアリングが少しだけ写っているとわかります。

【▲霧の中に頭を出すファルコン9ロケットのフェアリング(Credit: SpaceX)】

今回のミッションで使用されたファルコン9ロケット第一段機体は、9回目の発射と着陸に成功しました。打ち上げ後、ロケットの第一段機体は地球へ再び戻り、海上に浮かぶドローン船「Just Read the Instrusction」へ着陸。この機体は、2020年5月にスペースXにとって初の有人宇宙飛行「Demo-2」で初使用されたものです。以後、ANASIS-II、CRS-21、Transporter-1などで繰り返し使われ、さらに4回のスターリンクミッションで用いられました。なお、スペースXにとって2021年、25回目のファルコン9ロケットの発射となります。

スターリンクは、スペースXが実施する大規模インターネット通信です。高速かつ低遅延を目指しており、山間部や島嶼部におけるインターネット通信を強力にサポートします。これまでに1800基以上のスターリンク衛星が打ち上げられ、打ち上げ回数にして31回目となります。しかし、アメリカの宇宙開発・宇宙ビジネス専門誌Space Newsによると、コロナウイルスの影響に関連したシリコン不足が生産を遅らせたり、通信体制を満たす能力に影響を与えたりしているということです。シリコンは、半導体を作るときに重要な原料の一つとして知られています。

スペースXにとって今週は、非常に忙しい週となりました。まず、11月9日には、日本の宇宙飛行士・星出彰彦飛行士をのせた「Crew-2」が地球へ帰還。そして、NASAとスペースXの有人宇宙ミッション「Crew-3」の打ち上げが重なりました。

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Image Credit: SpaceX
Source: SpaceX/Space News/Spaceflight Now
文/出口隼詩

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