対馬で「ソーラーシェアリング」 東京の一般法人 再エネ利用、陸上養殖へ

 対馬市内外の企業、団体などでつくる一般社団法人「島の海と陸を豊かにする会」(本部・東京)が同市南部で2022年度から、太陽光発電と陸上養殖設備を兼ね備えた「ソーラーシェアリング」施設の整備を計画していることが13日、分かった。再生可能エネルギーの地産地消や雇用の創出を通じ「持続可能な島づくり」を目指す。
 同法人は、島内外のエネルギー関連や団体、研究者ら約60者が参加して6月に設立。人口減少や農林水産業の衰退、海岸線の漂着ごみ問題といった、対馬を取り巻くさまざまな課題解決を図る「対馬プロジェクト」の一環として取り組む。
 同施設は市南部の土地(12万平方メートル)に太陽光パネル約2万枚を敷き詰め、整備。発電出力は5メガワット超を見込む。電力を供給できる養殖用水槽約100機を併設しウニ、ナマコなどの陸上養殖に取り組む予定。総事業費は16億円程度の見通し。財源は、主に島外の参画企業に出資を募り、新電力会社での株式発行も検討。実地調査や用地の借り上げを一部進めている。
 対馬プロジェクトではこのほか、集落の用水路などを利用した中小水力発電設備や、高温高圧処理により水と蒸気の区別がほぼなくなった「亜臨界水」を用いたごみ処理施設を26年度までに設置する計画も立案。大規模洋上風力などを31年度ごろまでに段階的に造ることも構想している。
 同法人の理事で、対馬支部の上原正行支部長(76)は「人口減の負のスパイラルを好循環に変え、人口増につなげる。対馬で生まれたモデルケースを、いずれは世界に広げていきたい」と話す。

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