ラグビー元日本代表監督日比野弘さん死去・ウェールズを苦しめた「餓狼作戦」

日比野弘氏(東スポWeb)

日本ラグビー協会は15日、元日本代表監督で協会名誉会長を務めた日比野弘名誉顧問が14日に86歳で死去したことをホームページで伝え、哀悼の意を表した。

日比野さんは早大時代にWTBとして活躍。日本代表キャップ3を獲得し、監督としても1季目の1970年度に全国大学選手権と日本選手権を制するなど、70年代の早大黄金期を築いた。

早大出身の指導者といえば、68年のニュージーランド遠征でオールブラックスジュニアを破る快挙を遂げた日本代表を率いた大西鉄之祐氏が名高い。「接近、連続、展開」の言葉は他競技にも広まるカリスマ理論家だったが、日比野ジャパンもW杯創設以前の日本ラグビーで金字塔を打ち立てた。

83年、ウェールズ遠征のテストマッチで24―29と大健闘。SO松尾雄治主将、当時同志社大生だったCTB平尾誠二らを擁した日比野ジャパンは「餓狼作戦」で強豪に対峙した。飢えた狼が巨象に襲いかかるごとくフィフティーンは後半に相手を追い詰め、テレビ東京の衛星中継を見守るファンを興奮させた。

「飢えた狼」が精神論めいたイメージを与える一方、スポーツ科学も重視した。代表トレーニングコーチを務めた小田伸午氏の下、選手たちを鍛え上げた。2015年W杯で世界的にブレークしたエディー・ジョーンズ氏率いる日本代表の過酷なトレーニングは語り草だが、「フィットネス」という言葉が現在ほど当たり前に使われていなかった時代、日比野ジャパンはたくましい戦闘集団と化していた。

くしくも今季、早大ラグビー部は「Be Hungry」をスローガンに掲げている。

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