上原氏&藤川氏に共通“食と好成績”の相関関係 高校球児の食事考えるシンポで力説

シンポジウムに登壇した藤川球児氏(左)と上原浩治氏【写真:朝日新聞社提供】

上原氏、藤川氏はアメリカでの経験も踏まえて食生活について語った

高校球児に必要な食事やケアの重要性を考える朝日新聞シンポジウム「高校野球と食事」が12日、京都市内で開催された。パネルディスカッションには、巨人やメジャーリーグなどで活躍した上原浩治氏や日米通算245セーブを挙げた元阪神の藤川球児氏、日大三高の小倉全由監督らが参加。食事が体づくりやパフォーマンスに与える影響などについて意見を交わした。

基調講演では、立命館大スポーツ健康科学部・同研究科の海老久美子教授が登壇。1990年ごろから高校球児やその指導者に対して食事の重要性を説いてきた経験を踏まえながら、エネルギー消費量の多くなる球児には、米を中心とした食生活による栄養摂取が重要であると語った。

パネルディスカッションにも加わった海老教授は、“食トレ”と称して個人差を考慮せず「1度に白米3合」といった大量の食事を課す指導に警鐘。それに対し、小倉氏は指導者の立場から「自分は無理に食べさせるということはしないです。楽しく、美味しく食べようというのがうちの寮生活です」と現場の実情を語った。

日大三高には“食トレ”は存在しないといい「今はコロナで黙食ですけども、本当はみんなでワイワイ食べたいんです」とも。球児たちと毎日食事を共にしていると、箸の動きやおかわりの様子などで個々の体調も見えてくるという。名将ならではの視点として、食卓を囲むことで生まれるコミュニケーションの大切さを強調した。

藤川氏「世界で勝ち抜こうと思うと、食事の勉強は非常に大事」

上原氏は、いきなり20勝を挙げた巨人でのプロ1年目には食生活が関係していたエピソードを紹介。「寮のメシがうまかったです。品数も6~7品目くらい出ますから」と食欲旺盛に。夏までに体重が8キロ増えたことでスタミナが生まれ、好成績の要因になったと自己分析した。

学生時代の食生活について問われると、「とりあえず細かったので、量だけたくさんとれば体が大きくなるんじゃないかなという考えで、白ご飯を沢山食べていました」と回顧。栄養面は特に意識していなかったというが、プロ2年目に故障を経験したことで、栄養士のサポートを受けるようになったと明かした。

藤川氏は、体重が増えずに苦しんだ過去を披露。高知商2年夏に甲子園に出場した際の体重は64キロだったといい「食べなきゃいけないというのは言われました。でも投手はランニング量が多くて、代謝が良すぎて太れなかった」。プロ入り後も課題はついて回り「野村(克也)監督に『太れ、太れ』と言われてきましたね」と苦笑いしながら振り返った。好き嫌いが多く偏食気味だったのも一因だというが、結婚後は愛妻が作ってくれるバランスのいい食事で増量に成功したと語った。

球児たちに対しては、自分で考えることの必要性を強調。「世界で勝ち抜こうと思うと、食事の勉強は非常に大事。僕自身は、高校でもプロでも寮などで食事は用意されていた。でも米国はそうじゃない。大谷(翔平)選手のような目標を持つなら、自立して他者に頼らない力が必要」と訴えかけた。自身も3年間メジャーでプレーしたが「僕にはそれがなかった。アメリカの人はプロテイン飲んで、チキンを食べて……。僕も真似したけど体が動かなかったですね」と失敗談も。未来ある若者への助言には、一層熱がこもっていた。(Full-Count編集部)

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