奄美世界遺産・茶日本一 故郷へ地球の裏側から「おめでとう」 設立108年のブラジル鹿児島県人会 コロナ下、デリバリー行事

イベントに携わったブラジル鹿児島県人会のメンバーら=サンパウロ市(県人会提供)

 ブラジル鹿児島県人会は「奄美郷土料理祭り」を同国サンパウロ市で開き、「奄美・沖縄」の世界自然遺産登録と鹿児島の茶産出額日本一の快挙を広くアピールした。新型コロナウイルス下、デリバリー形式で行い、鶏飯とかしゃ餅(よもぎ餅)を市内外に届けた。

 県人会はこれまで鹿児島のPRや運営資金を得るため、日本を紹介する大規模な「日本祭り」などでさつま揚げやかるかんを販売。コロナの影響でこの2年間イベントが開かれず、「別の取り組みができないか」と春から構想を練ってきた。奄美出身の1世が試作品を味見し、青年部がオンラインで注文を管理するなど総動員で取り組んできた。

 奄美郷土料理祭りは10月31日にあり、会員らが鶏飯400食とかしゃ餅340個を同市内の会場で調理し、予約販売。購入してくれた人には鹿児島商工会議所から寄付を受けた鹿児島茶も贈った。

 同国には47都道府県全ての県人会があり、鹿児島は1913(大正2)年8月、他に先駆けて設立。2023年に110周年の節目となる。会長の文岡セルジオ正樹さん(53)は「イベントはとても好評で、幅広い年代から協力をもらえて良かった。県人会の歴史を守るため、とても意義深かった」と喜んだ。

 鹿児島県人会によると、1908(明治41)年6月18日、最初の日本人移民が同国に到着。コーヒー農園の労働者として過酷な待遇や不作に苦しんだ。その後、資金を出し合い土地を手に入れ、農業を始めた。各地に開拓先没者慰霊碑が残る。移住者は100年間で26万人、子孫は約200万人に上るとされる。

鶏飯を準備する関係者=サンパウロ市のイベント会場(ブラジル鹿児島県人会提供)
会場で鶏飯などを受け取る関係者=サンパウロ市のブラジル鹿児島県人会館(県人会提供)

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