子宮頸がんワクチン、対象年齢過ぎた人にも無料接種へ 厚生労働省、積極勧奨再開で救済措置

 厚生労働省は15日、ワクチンに関する分科会を開き、先に決めた子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨再開の方針にともない、これまで勧奨されずに対象年齢を過ぎてしまった女性にも、希望すれば無料で接種できるようにする方針を諮問した。分科会からは特に異論は出ず、幅広い年齢層に呼びかけることが事実上決まった。同省では新年度開始までに具体的な実施案をまとめる方針。

1997~2005年度に生まれた女性、最大数百万人が該当

 15日開催された分科会で、同省は積極的勧奨が行われていなかった時期に、無料で接種できることを知らずにワクチンの対象年齢(16歳以下)を過ぎてしまった女性への対応案について諮問した。医学的にはこのワクチンの効果が高いとされる対象年齢は20歳以下とされるが、この年齢を過ぎても予防効果は下がるが安全性には特に問題ないという研究がいくつか示されている。

 分科会には、呼びかける対象についていくつか幅をもたせた複数の案が提示されたが、出席した専門家からは、行政の責任として制限は設けず、公平に幅広く対象とすべきという意見が相次いで出され大勢を占めた。対象年齢を過ぎたことで予防効果が弱まることについてもあわせて説明すべきという意見や、無料でできると知らずに自費で接種した女性も少なからずいるとして、そうした人たちへの救済措置も行うべきという意見もあがった。

 同省では新年度までに方針を定めるが、分科会では積極的勧奨がなされなかった1997〜2005年度に生まれた女性(現在16歳〜24歳)全員に呼びかけるべきという意見が多く出されたことなどから、この方向で具体案をまとめる方針だ。対象は数百万人に上るとみられ、希望すれば無料で接種を受けられる。

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