「ひとつのミスで終わってしまう」勝田範彦が新井大輝との激戦を振り返る/セントラルラリー2021

 愛知県・岐阜県を舞台に開催された『フォーラムエイト・セントラルラリー2021』は、11月14日にフィニッシュし、TOYOTA GAZOO Racingの勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリスGT4ラリー)が優勝を飾った。競技初日から首位に立った勝田だったが、2番手につける新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI)との差は7.7秒。その後の激戦を今季の全日本ラリー王者が振り返った。

 セントラルラリー2021の競技2日目、レグ2は序盤に新井が猛攻を見せ、最初の2SSで連続ベストタイムをマーク。3本目では勝田が取り返したが、両者の差は6.8秒に縮まった。ここで前半の走行が終了し、クルーは豊田スタジアムに設定されたサービスパークに戻り、マシンのメンテナンスを行った。

 この時点で勝田は、「(新井に)がっちり食いつかれていますね。ひとつのミスで終わってしまう」と緊迫した様子を明かした。

 一方で「新井選手は柔らかめのタイヤを履いているようだったので追い付かれるかとは思っていましたが、やっぱり差を詰められてしまいましたね。でも、自分たちも順調にいっています。午後はクルマに変更を行うつもりはありません。タイヤの温まりが良くなるはずなので、頑張ります」と冷静に戦況を分析していた。

 戦いは残すところ2SS。ステージ合計17kmで勝負が決まる。勝田は、最初のSS11で新井を3.3秒引き離す会心の走りを見せると、最終ステージもさらに0.4秒差をつけるベストタイムでフィニッシュ。最終的に新井との差を10.9秒に広げて優勝を飾った。

 フィニッシュ後、勝田は「クルマは、全日本ラリー選手権の最終戦となった久万高原ラリーから大きくは変えておらず、カラーリングだけ変更しています。路面のグリップが高い区間は、とても気持ちよく走ることができました。グリップが下がってしまうとクルマに小変更を行う必要がありますが、全体的に走りやすかったです」とGRヤリスの性能を称賛している。

 勝田にとっては全日本ラリーの第7戦ラリーカムイから負けなしの5連勝。今季からコンビを組み始めた木村やチーム、そしてファンへの感謝も述べた。

「今回、勝利を得ることができたのは僕だけの力ではありません」と勝田。

「コドライバーを務めてくれた木村裕介選手、チーム、そして応援してくれたファンの皆さんに支えてもらいました。おかげで、全日本選手権のラリーから5連勝を飾ることができました。ありがとうございます」

フィニッシュ後、満面の笑みを見せる勝田範彦。息子の貴元は今週末(11月19〜21日開催)のWRC最終戦モンツァに挑む
2台のGRヤリスを走らせるTOYOTA GAZOO Racing。チームはメカニックを含めトヨタ社員で構成されており、将来に向けた人づくりという意味合いをもつ
勝田範彦は2021全日本ラリー選手権第7戦カムイから負けなしの5連勝を達成。GRヤリスGR4ラリーのポテンシャルを証明した

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