軽石が伊豆大島にも漂着 今後の影響は?

軽石が日本各地の沿岸部に漂着し、漁港が使えなくなったりフェリーが運航できなくなったりと問題になっています。軽石の一部とみられるものが東京都内にも漂着しています。

今年8月に噴火した東京・小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で発生したとみられる軽石が伊豆大島にも漂着し確認されたことが明らかになりました。11月12日午前、東京・大島町の漁協から「軽石のようなものが海岸に漂着している」と東京都に連絡があり、1センチから10センチぐらいの大きさの軽石が確認されたということです。13日に撮影された写真では、黒い砂浜に軽石が漂着している様子が分かります。島には海底火山の噴火前から白い軽石が打ち上げられていましたが、今回見つかった軽石は褐色で表面がごつごつしていたということです。

この軽石について海洋研究開発機構の美山透主任研究員は「火山から沖縄に向かって、沖縄から黒潮に乗って東京の方に流れていくので、かなりの確率で火山からやってきたものと思われる。東海・関東に近づく軽石が11月末にかけてだんだん増えてくる予測になっている」と話しています。また、すでに各地で大きな被害を出している軽石の関東地方への影響について、美山さんは「量が少ないとはいってもやはり影響を与えるぐらい軽石が流れ着く可能性が否定できないので、警戒は必要」といいます。

沖縄県の海岸では保護された絶滅危惧種のアオウミガメの子どもの体内から大量の軽石が見つかったことも分かりました。これは沖縄美ら島財団が明らかにしたもので、財団は「ウミガメが福徳岡ノ場の噴火で発生し漂流していた軽石を誤って食べたため」とみています。このウミガメは11月11日に砂浜で弱った状態で見つかり沖縄美ら海水族館で保護されましたが翌日死んでいて、死んだ原因は分かっていません。

<漂流する軽石 東京・伊豆諸島でも続々… 対策は?>

8月に小笠原諸島の海底火山で起きた噴火で発生したとみられる軽石の影響が広がっています。東京都内の現状をまとめました。

都内の島しょ部で最初に軽石が見つかったのは11月10日の式根島のことでした。新島村・式根島支所の職員が漁港に軽石が漂着しているのを確認し、網でバケツ数杯分を回収しました。大きさは大きいもので長さ1センチ程度でした。また、12日には大島でも見つかりました。海岸に1センチから10センチほどの大きさの軽石が漂着しているのが確認できたということです。さらに14日午前、今度は神津島から10キロほど離れた沖合で軽石が漂流しているのが見つかり、14日午後には御蔵島の漁港の岸壁でも見つかっています。海洋研究開発機構の美山さんによると今回は「100年に1度」というレベルの現象だと話していて、海底火山の活動が沖縄や東京など全国の広い範囲に影響を与えている状況です。

それでは今後、軽石はどのように漂流していくのか海洋研究開発機構のシミュレーションで見てみます。15日現在、沖縄をはじめ九州や四国の南の海にも広く漂っている状態で、伊豆大島の一帯にも届き始めています。これまでのところ、東京都心の東京湾で被害が出ているという情報は入ってきていませんが、11月下旬には黒潮の海流帯付近にある伊豆諸島や関東地方の沖合にも漂着する可能性があると予測しています。この点について海洋研究開発機構の美山さんは「シミュレーションの範囲内では東京湾内に漂着することはないと予測している」としています。

今後の対応について東京都は、漂着する恐れがある港では状況を見てオイルフェンスを設置する方針で、すでに必要な量を確保しているとしています。さらに、もし港湾の内部に入ってきてしまった場合は、陸上から重機で撤去する計画です。また、漁業への影響として、漁船が軽石を吸い込むとエンジンなどが故障する恐れがあるため、各島の漁業協同組合や漁船に周知します。

月末にかけて軽石はさらに漂流してくると予測されているため、特に島しょ部では今後の情報に十分注意が必要です。

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