獅子頭や屋台を特別展示 秋祭り2年連続中止で

手作りした天狗の人形と獅子頭を並べる岸新吾さん(和歌山県すさみ町周参見で)

 新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となった秋祭りの魅力を伝えようと、和歌山県すさみ町の6団体が20、21の両日、町文化祭で獅子頭や屋台を特別展示する。各団体は「地域の伝統芸能を守りたい。少しでも祭りの雰囲気を味わってもらえれば」と趣向を凝らしている。

 展示は町総合センター(すさみ町周参見)で20日正午~午後5時、21日午前9時~午後3時。祭りの道具のほか、過去の祭りのスナップ写真や動画上映などもある。

 町内では各地区とも祭りの担い手の高齢化、後継者不足が進んでいる。出展団体の一つ、平松獅子舞保存会は約40人。40~50代が中心だが、後継者育成を目的に小中学生も加わっている。

 ところが、秋祭りが2年連続で中止となり、練習もストップ。岸新吾会長(60)は「子どもの頃に体験していれば、進学や就職で地区外に出ても、祭りには帰ってきてくれるかもしれない。祭りの実体験が失われるのは厳しい」と話す。

 当初は「紀の国わかやま文化祭」に合わせ、6地区「競演」による獅子舞演舞祭を予定していた。2010年に開催して好評だったこと、披露や練習の機会が失われたことから企画したが、新型コロナ対策を考慮して、展示に切り替えた。

 平松獅子舞保存会では、祭りの雰囲気をよりリアルに再現しようと、子どもが演じる天狗(てんぐ)の人形をマネキンで作った。両腕が可動するため、ポーズも付けられる。岸会長は「展示に足を運んで、祭りのことを忘れないでいてほしい。来年こそは実演を見てもらいたい」と話している。

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