海の恵みをいつまでも!宮城・南三陸町でおいしくSDGsを学ぶ

森に育まれた絶品の海産物!SDGsの町・南三陸

世界の持続可能な未来を目指し、国連では2015年、「持続可能な開発目標」(SDGs)が策定されました。

このSDGsの取り組みがあちこちに感じられ、かつ絶品の魚介グルメも楽しめるのが、宮城県の南三陸町です。

南三陸町は、古くからカキやホタテ、ワカメ、サケなどの養殖が盛んで、サンマ、サバといった多くの魚介も水揚げされてきました。中でもタコは、「西の横綱は明石市(※1)、東の横綱は南三陸町」と言われるほど有名です。

この背景にあるのは、豊かな森です。町の面積の約77%を占める森から、栄養たっぷりの水が志津川湾に注ぎ込み、魚のエサとなるプランクトンを育むのです。

2011年、南三陸町は東日本大震災で、住家の約6割が倒壊するなど大きな被害を受けました。

震災の悲劇から立ち直り、未来へ進んでいくために今、南三陸町が注力しているのがSDGsです。

2016年には、世界で初めて「FSC(森林管理協議会)」「ASC(水産養殖管理協議会)」の2つの国際認証を取得。さらに、湿地環境を守る「ラムサール条約」に志津川湾を登録したりと、おいしい海産物の源となる豊かな自然を守るための多くの取り組みが進んでいます。

水産加工品にバームクーヘンも⁉丸荒の挑戦

震災で加工業へ挑戦

南三陸町で、おいしい水産加工品を作りつつ、SDGsにも積極的に取り組んでいるのが株式会社丸荒(まるあら)です。

1974年に創業した同社はもともと、魚の卸売を営んでいました。

しかし、代表取締役社長の及川吉則(おいかわ よしのり)さんは、「震災により大きな打撃を受け、地域での水揚げも減る中、商品を安定供給できる加工業へ取り組むようになりました」と語ります。

東京の一流料理店とも取引

商品開発・販路開拓など、まったくの0からのスタートだったという丸荒。

それでも「挑戦的な社風」という同社ならではの企画力や技術力によって生み出された多彩な加工品が評判を呼び、現在では日本各地の百貨店などでも取り扱われるまでになっています。

安全・安心で高品質な商品をつくるため、2018年には、最新設備を備えたラボファクトリーを設置。商品の研究や試作などを行っています。ここには、東京の一流料理店からレシピ開発の依頼が舞い込むこともあるのだとか。

持続可能な町を目指して

丸荒は2017年、町の商業施設「ハマーレ歌津」に直売所を出店しました。ここの目玉商品は、なんとバウムクーヘン!

「なぜ水産加工会社がバウムクーヘンを?」と尋ねると、及川さんは、「魚の水揚げ量に左右されず、安定した市場が見込めるから。水産加工品と洋菓子は全然違うものですが、どちらを“話題性”と“品質”の両立を心がけてます」と回答。

そのうえで、「地域の意識改革として、地元の人たちに『この町でも、アイデア次第で何でもできるんだ』と思ってほしかったんです」と付け加えました。

南三陸町では、震災以降、若者の地域外への流出が深刻な問題となっています。そうした中、丸荒では、水産加工会社としての枠を超えて、持続可能な地域づくりのため多くの取り組みを進めています。

本業の水産に関してもそう。工場で出たホタテの殻を、カキやホヤの種付け用として養殖事業者に無償提供してリサイクルしたり、海の環境保全に関するプロジェクトで代表を務めたりするなど、多彩なSDGs活動に励んでいます

「南三陸町では、住民一人ひとりが町への想いを胸に、手を取り合って進んでいます。震災から10年、ようやく賑わいづくりの段階まで復興しました。これからも助け合いながら、活気がある町にしていきたいですね」。

丸荒のオススメ商品

こんな丸荒の、オススメ商品を紹介します。

骨までおいしいお魚シリーズ

ラボファクトリーで生まれた商品のひとつが、「骨までおいしいお魚シリーズ」。これは、地元産のサバやイワシなどを使った商品で、煮魚と焼き魚があります。

今回は、サバの醤油煮を食べてみました。独自の技術によって、身はしっかり、ふっくらとしていながら箸で簡単にほぐれるほど柔らかく、骨まで楽に食べられます。無添加・無着色のためか、からだにも優しく感じました。

「高齢者の方が、『久しぶりに地元の魚を食べられた』と喜んでくれたこともあります。骨があるからと魚を敬遠する人にも、このおいしさを味わってほしいですね。」(及川さん)。

「骨までおいしい焼き魚シリーズ」(真さばの塩焼と銀鮭の塩焼のセット) 1,600円(税込)
「骨までおいしいお魚シリーズ」(味噌煮4種/味醂煮4種/醤油煮4種) 各2,640円 ※3種は各1,980円(税込)
「骨までおいしいお魚シリーズ」(かれい3種/いわし3種/さんま3種/さば3種) 各1,980円(税込)

炊き込み御飯の素

百貨店などで人気なのが「炊き込み御飯の素」シリーズ。南三陸町産のカキやタコ、ホタテなどの身がゴロッと入り、ご飯と一緒に炊くだけで、まるで料亭のような本格的な炊き込みご飯がいただけます。

「炊き込み御飯の素」シリーズ (牡蠣/銀鮭/帆立/たこ/ほや/真鯖) 各1,080円(税込)

ワカメ・メカブ

南三陸町の歌津地区は、最高級のワカメの生産量が多いことでも有名。その外洋で荒波に揉まれ、肉厚に育った「塩蔵わかめ」や「冷凍めかぶ」などもオススメです。

【南三陸産】塩蔵わかめ 1kg 2,700円(税込)
【冷凍】南三陸産 湯通しめかぶ 500gx2 1,080円(税込)

オンラインショップも!

丸荒のオンラインショップでは、ご紹介した商品以外にも、カキを使ったグラタンや、ホタテ、サケの加工品など、多くの商品を販売しています。ぜひチェックしてみてくださいね。

オンラインショップ

新鮮な魚介を堪能できる!「南三陸さんさん商店街」

南三陸町のグルメやおみやげを求めて、「南三陸さんさん商店街」を訪れました。

「サンサンと輝く太陽のように、笑顔とパワーに満ちた商店街」がコンセプトの商店街。

南三陸産の杉を使って作られた建物の中には、飲食店や鮮魚店、雑貨店など20店以上が軒を連ね、屋外で海鮮バーベキューを楽しむこともできます。

ここを訪ねたのは、実は町の名物「南三陸キラキラ丼」を味わうため。この人気メニューは、「南三陸さんさん商店街」の6店舗で提供されています。今回は、「食楽 しお彩」で秋限定の「秋旨丼」をいただきました。

運ばれた丼を見てびっくり! 志津川湾で水揚げされたタコやサケをはじめ、旬の魚介が贅沢に盛り付けられています。

見た目だけではなく、おいしさも想像以上! 口の中に濃厚なうま味が広がるプリプリのホタテや、肉厚でコリコリとした食感のメカブ、脂がのったサケなど、新鮮な海の幸が味わえるのはご当地ならでは。

「南三陸キラキラ丼」は時期や店ごとに具材が異なるため、訪れるたびに新しい一品に出会うことができますよ。

荒島やモアイ像など、観光スポットもたくさん

志津川湾に浮かぶ荒島(あれしま)は、南三陸町のシンボルのひとつ。タブノキの群生が、神秘的な空間を創り出しています。ここの森は国際認証森林に登録されており、一日の入島人数や森に入る際の装備にルールがあるので、ご注意を。なお、近くには海水浴場や公園があります。

町内で目を引くのが「南三陸さんさん商店街」など7カ所に立つモアイ像。これは復興への願いを込めて、チリのイースター島から贈呈されたものなのだとか。「モアイ」は現地の言葉で「未来に生きる」という意味。持続可能な未来を目指して歩む南三陸町を、やさしく見守っているかのようです。

SDGsに積極的に取り組み、グルメも観光も楽しめる南三陸町を、ぜひ満喫してくださいね。

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