軽石、10港で漁業に支障 ダイビング200人超キャンセルも 沖縄県が対策会議

 小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる大量の軽石が県内各地の沿岸部に漂着している問題を巡り、沖縄県は17日、対策を全庁的に議論する「県軽石問題対策会議」の初会合を県庁で開いた。会議で各部局から被害状況の報告があり、16日時点で、33市町村で軽石の漂着が確認された。同日時点で港湾への漂着は県管理18港と那覇港の計19港、15日時点で漁港への漂着は42港で確認され、そのうち10港で漁業活動に支障が生じている。

 観光分野の影響について、15日時点で、ダイビングで80件以上、200人以上のキャンセルが出ている。宿泊施設も4施設以上でキャンセルが出た。そのほか、釣り船の運航中止やグラスボートの欠航などの影響が出ている。県はキャンセルなどの被害を把握するため観光協会やマリン事業者、宿泊関連事業者などに継続的な情報収集を進めるため、アンケート調査を実施する方針を示した。

 一方、県によると、国頭村、読谷村、八重瀬町で軽石を採取し、含有金属量など9項目の検査を実施したところ、すべてで土壌環境基準を下回った。県は「漂着した軽石の有効利用に際して環境安全性に問題はない」と判断し、土木建築資材や農業用資材としての利用に向けて検討を急ぐ。

 会議で玉城デニー知事は那覇港を管理する「那覇港管理組合」などの関係団体からの意見聴取も進める考えを示した。その上で「除去や処分に関して、問題が長期化するのは明らかだ。今後は課題に応じた柔軟なメンバー構成で、多くの視点や意見を踏まえ、全庁体制で迅速かつ効果的に軽石問題に対応していきたい」と述べた。

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