「つみたてNISA」投資信託の選び方、全世界株式にも種類があるけどそれぞれの特徴は?

つみたてNISAの口座開設者数は、2020年12月末時点で302万口座を突破して、2021年も大きく口座数をのばしています。

つみたてNISAは、金融庁が指定した投資信託の中からつみたてる商品を選択していくのですが、商品の特性をあまり理解せずに購入している人も多いです。

つみたてNISAで買うことのできる投資信託の中から、全世界株式、先進国株式、米国インデックス、新興国、日本のインデックスと、バランスファンドについて、具体的な商品を参考にしながら特徴をおさえていきましょう。今回は、つみたてNISAで買える、全世界株式について考察します。


「全世界株式インデックス」はどんな投資信託?

文字通り、全世界の株式にはば広く投資をすることが可能な投資信託です。
具体例として、純資産総額の多い

1)eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
2)SBI・全世界株式インデックス・ファンド
3)楽天・全世界株式インデックス・ファンド

を比較していきたいと思います。

1)eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)

2021年11月時点で3,400億円以上の純資産額があり非常に人気がある投資信託です。
こちらのファンドは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)という指数に連動した投資成果をめざして運用されています。

MSCI指数は、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出し公表したもので、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、先進国24か国、新興国(エマージング)21か国、フロンティア国25か国の約70か国をカバーしています。構成銘柄数は約3,000社となり、時価総額上位85%をカバーしています。つまり大型株で構成されていて小型株を含まない特徴があります。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは2021年10月末現在の過去20年間の平均リターンが+8.8%となります。

2)SBI・全世界株式インデックス・ファンド

2021年11月時点で410億円以上の純資産額があります。全世界株式インデックスの中では、信託報酬が最も安く人気があります。

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指して運用されています。FTSEインターナショナルはイギリスのロンドンに拠点があり、株式指数の算出や、関連する金融データを提供している企業です。このFTSEとは(フッツィー)と発音するので、知っていると投資談義をする際は少し玄人感を出すことができます。

先進国と新興国の、大型株から小型株まで網羅しており約9,000銘柄の株式から構成されており、時価総額の98%をカバーしています。まさに世界中の株式をまるっと購入することができる指標になっています。

2021年10月末現在の過去20年間の平均リターンが+8.9%となります。

3)楽天・全世界株式インデックス・ファンド

2021年11月時点で1392億円以上の純資産額があります。低コストの全世界株式インデックスの投資信託の走りとして、当初設定日(2017年9月29日)に立ち上がりました。設定時は最も信託報酬が安かった為多くのお金が集まっています。設定された当初は、楽天と米国のバンガードが合同で「楽天・バンガードファンド」を運営していましたが、日本からバンガードが撤退したことから、楽天投信投資顧問のみが運営し、バンガードの名前は無くなっています。このファンドも、SBI・全世界株式インデックス・ファンド同様にFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動すること目指して運用されています。この運用を実現するためにバンガードのトータル・ワールド・ストックETF=VTを実質的な主要投資対象としている為、「楽天VT」と略されることがあります。

3つの投資信託の比較

3つの投資信託を比較すると以下の表のようになります。

まだ設立してから時間がたっていない為実績は3年前までとなります。ここ3年ほぼ大きな差はなく、長期で投資対象のインデックスを比較しても大きな差はありません。ここ1年のトータルリターンの実績は、SBI・全世界株式インデックス・ファンドが48.48%と最も高くなりますが、3年でみると17.70%と最も低くなります。

どのファンドも、時価総額の加重平均型となっているため、その時その時の個別企業の時価総額の大きさによって内訳が変わっていきます。言い換えれば世界中の企業を対象に自動的にバランスを取り直してくれるため、今後、新しく育った企業や、新興国が隆盛した場合もバランスを心配する必要はありません。

信託報酬は、SBI・全世界株式インデックス・ファンドが0.1102%と最も安いですが、eMAXIS Slim 全世界株式も信託報酬を下げており、ほぼ同水準になっています。

何が違う?選び方は?

どのファンドも信託報酬が低く、実質コストそれほど高くはありません。リターンについても大きな差はほとんどありません。

ただし、投資対象が約3,000社のeMAXIS Slim全世界株式は、大型株を中心に投資しているので比較的安定感があるともいえます。

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指すSBIと楽天は約9,000社に投資していることから、先進国やフロンティアの小型株にも投資することになります。小型株の方が将来的にリターンが大きくなるというアノマリー(証明はできないが、株価変動のよくある傾向のこと)を狙う場合や、分散効果を狙えるとも言えます。

今後、10年後20年後30年後の世界の情勢はどのようになっているかわかりませんが、アジア・アフリカを中心に人口が増え、さらに世界のGDPは成長することが予測されます。どのファンドでも、この世界経済の成長をまるごと自分のものにする投資対象として十分な成果をもたらす可能性があります。全世界型の投資信託を投資対象として検討してみてはいかがでしょうか?

© 株式会社マネーフォワード