通路でじっくり、ひんやり 口当たりまろやかに 「宮ケ瀬ダム貯蔵酒」運び出し

ひんやりとした監査廊に積み上げられた黄金井酒造の日本酒=宮ケ瀬ダム

 宮ケ瀬ダム内の監査廊(かんさろう)と呼ばれる、ひんやりとした管理用通路内で貯蔵されている日本酒の一部を取り出す作業が17日、行われた。宮ケ瀬ダム周辺振興財団(清川村宮ケ瀬)と黄金井酒造(厚木市七沢)、国交省相模川水系広域ダム管理事務所(相模原市緑区青山)が連携した取り組みで、同ダム内での日本酒の貯蔵は3年目になる。

 巨大なコンクリートのダム内は、年間を通じて気温が10~12度程度。この涼しさを利用して名産品を生み出そうと、3者で2019年から始めた。

 黄金井酒造が一升瓶入りの日本酒約千本を、ダム上部から80メートル下った監査廊内に貯蔵。半年ほど寝かしてから順次取り出して「宮ケ瀬ダム貯蔵酒 特別純米 盛升 原酒」(720ミリリットル、1870円)、「同 吟醸辛口 盛升 原酒」(同1760円)として販売している。

 この日は、黄金井陽介専務が管理用エレベーターで監査廊に降り、貯蔵されている日本酒を運び出した。「低温でじっくり貯蔵するため、口当たりが良くまろやか」と同専務。

 同財団によると、久保田酒造(相模原市緑区根小屋)も今年から、ダム内での貯蔵を少量でスタート。同社では「試行的な取り組みでまだ販売するものではないが、貯蔵期間などを検討していく」としている。

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