【規制改革推進会議】オンライン服薬指導の実施場所を“在宅”可へ/年内にも「中間とりまとめ」

【2021.11.17配信】11月17日に政府の規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」が開かれ、これまで4回の 「医療・介護ワーキング・グループ」(WG) での議論を踏まえ、年末をメドに中間とりまとめを行っていく方針を示した。重要性、緊急度等を踏まえると、「オンライン診療・服薬指導」「電子処方箋」「抗原検査キット」については年内から年明け早々にかけた措置完了が求められるのではないかとした。このうち「オンライン服薬指導の実施場所」に関しては、「薬剤師の働き方改革の観点からも、薬局という場にこだわらず、在宅でのオンライン 服薬指導を可能とする必要があるのではないか」として、「早急に可能とする必要がある」とされた。

「オンライン服薬指導の実施場所」、「薬局という場にこだわらず在宅で」議論

これまでの4回のWGの議題は以下の通り。

■第1回 WG
1.オンライン診療・オンライン服薬指導に関する検討状況について(フォローアップ)
2.新型コロナウイルス抗原検査キットの薬局等における販売について
3.地域医療構想調整会議のガバナンス向上について
■第2回 WG
1.医療・介護関係職のタスク・シフト/シェアについて(フォローアップ及び新規)
2.医薬品、医療機器の広告規制の合理化について
3.車両による移動式 PCR 検査や空きスペースを活用したコロナ診療について【措置済み】
■第3回 WG
1.医療分野における DX の促進のための電子署名の取扱いについて(フォローアップ及び一部新規事項)
2.社会保険診療報酬支払基金における審査・支払業務について(フォローアップ)
3.電子処方箋システムの構築状況について(フォローアップ)
■第4回 WG
1.プログラム医療機器(SaMD)に関する承認審査等の在り方について(フォローアップ含む)
2.医療機器製造業規制等のプログラム医療機器への適用について

これらについて事務局は「今後の論点」を資料で整理した。
このうち、薬局、薬剤師に関連のあるテーマとしては以下の通り。

■第1回WG
「オンライン診療・オンライン服薬指導に関する検討状況について(フォローアップ)」については、以前から「メール等による診療」が提案されており、事務局は「今後の論点」として、「動画か対面という二者択一によるのではなく、医師の判断に応じて様々なデジタ ル技術を柔軟に活用して効果的・効率的な診療を実現できるよう、今後も検討を進め、早期に結論を得る必要があるのではないか」とした。
「オンライン服薬指導の実施場所」に関しては、これまで「薬剤師の働き方改革の観点からも、薬局と いう場にこだわらず、在宅でのオンライン 服薬指導を可能とする必要があるのではないか」という指摘が示されてきたが、これに対し、厚労省は「調剤から服薬指導まで一体であるべきであり、在宅での服薬指導については、セキ ュリティやプライバシーの保護、服薬指導 を実施する薬剤師の手元に薬剤がない等 の論点や課題があることから、よく議論して判断・検討していくべき。ベネフィット がある一方で、クリアすべき課題もあると考える」との見解を示していた。
「今後の論点」で会議事務局は、「セキュリティやプライバシーの問題はオンライン服薬指導の具体的な実施方法における課題であり、在宅でのオンライン服薬指導を一般的に不可とする理由とはな らないのではないか。対面の場合のセキュリティやプライバシー対策の現状、さらには、対面服薬指導におけるこれら事項の状況を踏まえ、薬局外からのオンライン服薬指導を早急に可能とする必要があるのではないか」と示した。

そのほかの追加的な委員の意見として、「処方箋医薬品についてオンライン服薬指導が可能である一方で、要指導医薬品は、オンライン服薬指導が可能とはされていないことは不合理ではないか」との意見が示された。
また、ADHD の治療薬について「民間団体による事実上の“規制”によって、合理的理由なく、オンライン診療を受けた患者がその治療薬を入手できない現状を早急に是正する必要があるのではないか」との意見が示された。

会議側「薬剤師による診療補助行為に関するニーズを検討し、早期に具体化を」

■第2回WG

「在宅医療における薬剤師へのタスク・シフ ト/シェア」に関しては、 「薬剤師は点滴薬剤の交換・充填、褥瘡への薬剤塗布ができないため、在宅医療におい て、薬剤師が医薬品の配達後に医師や看護 師等が訪問するまで薬剤を使用できず、速 やかな患者ケアに支障をきたしている。薬剤師による診療補助行為の実現に向けた 検討が必要」と提案されてきた。
これに対して厚労省側は「ニーズがあれば見直しをする必要もある かと思うが、現状では薬剤師は医師の指示 のもとで診療を補助する立場として規定 されておらず、まずは今年度中を目途に医 療関係団体に御意見を伺っていきたい」というものだった。
会議側は、「今後の論点」として、「薬剤師による診療補助行為に関するニー ズを検討し、早期に具体化を図る必要があるのではないか」と示した。

電子処方箋システムは「HPKI 以外の資格確認方法に対応を」

■第3回WG

電子処方箋システムについては、「医師の資格確認にあたってHPKI を前提としているのか、他の方 法も想定しているのか」という課題が示されてきた。会議側事務局は「今後の論点」として、「今後の検討による結論を踏まえ、電子処方箋システムがHPKI 以外の資格確認方法に対応できている必要があるのではないか」とした。

厚労省側は、電子処方箋システムの進捗について、「11月4日に支払基金における システム設計・開発事業者が決定したところ。令和5年1月の 運用開始に向け、詳細なシステム設計等について検討を進めてまいりたい」と報告した。

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