韓国紙「文政権は中国の尿素輸出規制をWTOに提訴せず」「日本の輸出規制はすぐに提訴したのに...」

中国が尿素の輸出に制限をかけたことで混乱に陥った韓国だが、WTOへの提訴は行わないことが分かった。2019年7月にあった日本の半導体素材輸出規制への対応との違いが問われている。

参考記事:韓国経済紙「中国はいつでも韓国の息の根を止められる」「原材料止めれば産業全体が崩壊」

毎日経済新聞は17日、『日輸出規制はWTO提訴した政府、中国尿素事態には”実益少なく”慎重』という独自取材記事を掲載し、このように報じた。

同紙は「先月、中国の突然の尿素尿素輸出規制で国内に尿素数の乱れが生じたが、政府は中国を世界貿易機関(WTO)に提訴しない方に片むいたことが確認された」とし、「2019年に日本が半導体素材品目に対する輸出規制措置を出したとき、WTO提訴カードを切ったとのとは異なり、慎重な姿勢だ」と指摘した。

毎日経済新聞は、産業部と外交部への独自取材をもとに、韓国政府は中国のWTO提訴に加え、韓中自由貿易協定(FTA)違反など国際貿易秩序違反の有無について検討を終えたという。同紙は「主務部署である産業部はこのような法的検討の末、中国を提訴しない方向で立場を整理した」と伝えている。

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「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」の第11条には、関税・租税・課徴金以外のいかなる輸出禁止や制限を設定・維持してはならないと規定しているが、中国が尿素など肥料品目に対して輸出前検査という名目によって輸出物量を制限したため、GATT第11条に違反したという解釈が成り立つ。しかし、政府が中国に対して慎重さを見せていることから「韓中貿易紛争で交渉力を落とすという指摘が出ている」と毎日経済新聞は指摘している。

2019年7月、日本が高純度フッ化水素など半導体素材をめぐって韓国に対する輸出規制措置を下した時は、韓国背府は2か月後に日本をWTOに提訴した。当時もWTO提訴は実効性がないという指摘があったが、韓国政府はWTOを通じて日本措置の不法性と不当性を国際社会に広く知らせるとして提訴を実行した。

同紙は、産業部が、中国をWTOに提訴しても勝てる可能性が低いとみていると伝えた。また、中国税関が尿素の搬出を許可し始めるなど、中韓政府同士の協議が進んでいる状況で、提訴を行うのは事態解決にむしろ悪影響を及ぼす可能性があると見ているという。

一方で毎日経済新聞は「中国の今回の尿素輸出制限は、2010年中国の日本に対する希土類(レアアース)輸出制限と同様の側面が多い」とし、「当時、日本は中国をGATT11条違反とし、WTOに提訴して3年ぶりに勝訴した」ことを挙げている。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「政府の人間は中国に何か弱味を握られたのだろうか?日本にだけ選択的に怒りを噴出している」

「中国を提訴するどころから、中朝に何も文句が言えない社会主義左派政府」

「…提訴は協議が決裂したときにやることだ…」

「中国は韓国を使って様々な遊びをしているようだ」

「…日本の場合は我が国だけをターゲットに輸出規制をしたんじゃないか」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

参考記事:中国紙「韓国は中国に特使を送って懇願した」「先進国を称するのに尿素も作れないのか」

参考記事:韓国紙「中国の尿素輸出規制で韓国大混乱も、なぜ日本は平気なのか?」「世界最高のアンモニア生産力」

参考記事:韓国紙「半導体超純水を国産化し日本の独占を防ごう」「しかし信頼不足で現場では避けられてる」

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