明日はいよいよMVP発表 大谷翔平は「満票受賞か否か」が焦点

アウォード発表のシーズンは終盤に突入し、日本時間11月19日はいよいよ両リーグのMVPが発表される。ファイナリスト3名は、ア・リーグが大谷翔平(エンゼルス)、ブラディミール・ゲレーロJr.、マーカス・セミエン(ともにブルージェイズ)、ナ・リーグがブライス・ハーパー(フィリーズ)、フアン・ソト(ナショナルズ)、フェルナンド・タティスJr.(パドレス)という顔ぶれ。混戦が予想されるナ・リーグに対し、ア・リーグは大谷が「満票受賞か否か」が焦点となりそうだ。

ア・リーグのMVP争いにおいて、大谷の圧倒的優位は揺るがない。「ベースボール・リファレンス」が算出する総合指標WARでは投打合計で今季メジャー断トツの9.1をマークし、ナ・リーグ1位のザック・ウィーラー(フィリーズ)の7.7、ア・リーグ2位のセミエンの7.3などに大差をつけている。「ファングラフス」版のWARでも8.1はメジャートップの数字であり、ナ・リーグ1位のコービン・バーンズ(ブリュワーズ)の7.6、ア・リーグ2位のゲレーロJr.の6.7などを上回った。

打者として46本塁打、100打点、26盗塁、96四球、OPS.965、投手として9勝2敗、防御率3.18、156奪三振、WHIP1.09、奪三振率10.77をマークしただけでなく、球史にほとんど例を見ない二刀流の大活躍で大きなインパクトを残したことを考えると、メジャーリーグの2021年シーズンの「象徴」として満票受賞を期待するのは自然なことだろう。

大谷が満票受賞を逃す可能性があるとすれば、投手にはサイ・ヤング賞があるため、MVPを野手の賞と考え、野手成績を重視する記者が出てきた場合だろうか。実際、投手成績が全く考慮されないハンク・アーロン賞ではゲレーロJr.が大谷を上回り、今季のア・リーグの受賞者となっている。野手だけのWARを見れば、大谷はゲレーロJr.やセミエンに及ばない。とはいえ、二刀流の大活躍を見せた大谷を評価する際に投手成績を無視する投票者はほぼ皆無だと思われる。

エンゼルスがポストシーズン争いと無縁だったことを指摘する声もあるが、ブルージェイズも僅差とはいえポストシーズン進出を逃しているだけに、大谷にとってそれほど大きなディスアドバンテージとはならないだろう。MVPのファイナリストはナ・リーグを含めて6人全員がポストシーズンに出場できなかったチームの選手であり、投票者がチーム成績を重視していないことがうかがえる。

満票受賞なら2015年のハーパー(当時ナショナルズ)以来6年ぶり、ア・リーグでは2014年のマイク・トラウト(エンゼルス)以来7年ぶりの快挙。2001年のイチロー(当時マリナーズ)は満票受賞ではなかったため、日本人選手としては史上初の快挙となるが、果たして。

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