「地元目線で声上げ続ける」 大震災10年、被災地記者座談会

被災3県の地元紙記者による座談会(17日、盛岡市で)

 岩手日報社(本社・盛岡市)主催の「東日本大震災10年~被災3県4紙記者座談会」が17日、盛岡市内のホテルで開かれた。岩手、宮城、福島県の地元紙記者4人が震災関連の自社報道を振り返りながら、地元紙の役割や被災者との向き合い方などについて発表。「地元目線で声を上げ続けたい」といった意見が出た。

 発表者は、河北新報社(本社・仙台市)報道部震災取材班キャップ・高橋鉄男さん、福島民報社(本社・福島市)報道部副部長・鈴木仁さん、福島民友新聞社(本社・福島市)報道部次長・菅野篤司さん、岩手日報社釜石支局長・川端章子さん。座談会の様子はインターネット配信もされた。

 4人はいずれも震災発生前から記者をしており、この10年間、震災や被災地の報道に携わってきた。

 地元紙の役割について、鈴木さんは、福島第1原発事故の現状も紹介しながら「地元目線で報じることを心掛けている。声を上げ続けたい」と力を込めた。

 遺族や被災者との向き合い方については、川端さんが「現場でつながり続けることが大切」、菅野さんが原発事故での被災者のさまざまな立場の違いに触れながら「一定の考えを押し付けずに取材することが、寄り添うということではないか」と話した。

 地元紙としての課題については、高橋さんが若手記者の育成を挙げ「震災報道を継承していかなければいけない。同時に、ベテランが関わり続ける体制も必要」と述べた。

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