E4系Max、最後の越後路を駆ける 【E4系車内完全ガイド】

いつも眺めていた景色と日常がそこにはあった。

田端の車庫で休み、次の運用に備えて支度を整える君は、いつも僕たちの目を楽しませてくれた。
登場から24年、君はこれまで、出会いや別れ、再会など様々な人間ドラマを見続け、そして多くの人たちの夢や希望を運び続けた。そして感動を与えてくれた。

2階建ての君だからこそ、僕たちのドキドキやワクワクも2倍になった。
でももう、駅の電光掲示板で「Max」「2階建て」の文字を見ることは二度とないのである。
「日常」がまた一つ消え、また一つ変わっていく。

E4系新幹線

観光客や出張利用客、長距離通勤客などの大幅需要に対応するため、1994年に登場したE1系新幹線に次ぐ二代目の「二階建て新幹線」として1997年に登場した。定員数は8両編成で817人、2本連結した16両編成で合計1,634人!これは“世界最大級の”定員数を誇り、「Max(Multi amenity express)」の愛称が付いた。またその迫力ある大きさから「マンモス新幹線」の異名を持っている。最高速度は240km/hで、車体が大きい分他の新幹線には少し劣ってしまう。

登場後、E4系は東北新幹線「Maxやまびこ」に、2001年には上越新幹線「Maxとき」「Maxたにがわ」に充当された。

とはいえE4系とは一体どのような構造になっていて、またどのような設備が備わっているのか、そこで今回私はE4系に乗車し、車内設備及び東京~新潟間の車窓を撮影した。

私が乗った日は、

  • 下りを(12:40発)
    • P82編成:Maxとき321号新潟行き
    • P12編成:Maxたにがわ321号越後湯沢行き
  • 上りを(16:16発)
    • P17編成:Maxとき372号東京行き

が担当した。

階段

2階建て新幹線といえばこれ。個人的には少し急に感じた。列車の大きな揺れに対応するために、手すりが至る所に設置されている。

1階・2階普通車自由/指定席

2階席

1~6号車、9~14号車の1階・2階普通車には3列+2列(写真左)、または3列+3列(写真左下)の自由席/指定席がある。私が座った座席の座り心地は、柔らかすぎず硬すぎずといった感じで、タクシーなどの乗用車に使われているシートと同じような少し硬めのスポンジをしているようだった。座席の中心部分にはバネがあり、伸縮性がある。リクライニングはボタン式で押しながら倒せる。

しかし私が乗った日は、異なる2つのタイプの座席に座ることが出来た。先ほどの座席は4号車(12号車)の座席で、一方の2号車(10号車)の座席はリクライニング機能が搭載されていないタイプで、こちらは座席転換の際に一度リクライニング状態が解除され、座席を逆方向へ回転させて再びリクライニング状態に戻るというシステムになっている。

1階席### フラットシート

「フラットシート」とは他の新幹線と同じ高さで景色を楽しむことができる座席で、こちらは2列+1列の配列になっており、通路が広く確保され座席も1階席普通車と同様の模様がデザインされている。

グリーン車指定席

グリーン車は2列+2列の配列で、他の号車とは異なり照明がより温かい電球色を使用していた。他の新幹線と比較するとE5系やE6・7系の「グランクラス」とほぼ同類の明るさである。座席は普通車よりもふんわりした感触で、普通車に見られた縫い目は一切見られないサラサラとした質感だった。

テーブル

もちろん使い方は従来の新幹線や在来線特急と同じで、前の座席のロックを倒して解除し、畳んであるテーブルは手前に引くと出てくる。

トイレ

トイレは1・4・5・8(9・12・13)号車に設置されており男子トイレは狭く、女子トイレと多機能トイレは広く作られている。

洗面台

トイレのすぐそばにあり、正面には大きな鏡と蛍光灯が2つ灯っていた。

電話

かつては在来線特急にも設置されていた電話。テレフォンカード販売機が設置され、1枚1,000円で販売されていた。(もちろん使用中止)電話の方もボタン式で受話器が公衆電話のようなデザインから、自分が乗っている新幹線が本当に90年代に登場したという実感を与えてくれる。

荷物棚

自分の目線と同じくらいに座席番号表示シールがありそのすぐ上が荷物棚になっている。かなり低い位置にあり、楽に大きな荷物を出し入れすることができる。

車掌室

5(13)号車に設置。一室分の広さはかなり狭く、車両の左右両側に設けられている。

AED

車掌室のすぐ近くに設置されている。おそらく急病人が出た際に乗務員がすぐに対応できるように近くに備え付けられているのだろう。

売店カウンター

5(13号車)空きスペースに設けられた。従来は駅弁やお菓子、酒類などが販売されていたが、この日はラストランを記念して限定スムージーや新潟県産のフルーツを使用した「ニイガタスムージー」などを販売していた。私が赴いた際はすでに売り切れていた。またガチャガチャもあったが、残念ながら当日は故障していた。

・機械室と狭い通路

E4系は定員確保を目的に制作された新幹線のため、モーターなどの大きな機械をどこに収納するかが問題となった。そこで通路の位置を変えて人の通れる幅を敢えて狭くして、空いた空間に機械を収納させたのである。

自動ドア

現役の新幹線より幅がとても大きく、ドアの内側の色はデッキの壁の色と共に普通車は「青」、グリーン車は「エメラルドグリーン」にそれぞれ塗装されている。

折り畳み式座席

ドアから入ってすぐの所に設置。手前に引くと2階席と同じ模様の座席が展開される。写真には写っていないが、この時私は手を抑えて撮影していた。つまり何か重いものを置かない限り、すぐに閉じてしまう。

E2系と同様「前後の席セットで1つ」という構造で、これは前の座席を回転させて団体席で景色を楽しめるように設計されている。

照明

グリーン車の紹介でも少し触れたが、一方の普通車の照明はLEDライトよりも少し暖かい明るさで落ち着きのある明るさである。また1階席のデッキには電球色の照明が使用され、どこか90年代らしいオシャレだけれど落ち着いた感じがする。

カーテン

カーテンはスライド式で、2階席と同じ模様がデザインされている。

運転室

1・8(9・16)号車のいわゆる先頭車にあり、先頭車デッキの乗務員専用ドアから通り抜けられるように設計されている。

・デジタル表示板

種別/行先/号車番号/アナウンス表示器は全てデジタル表示。E5系以降の新幹線のLED表示とは大きく異なる。

パンタグラフ

E4系が使用しているのは下枠交差形のパンタグラフ(PS201)で、東北・上越・長野方面の新幹線で唯一残ったパンタグラフである。また現在も運用に就いていて、E4系と同年代に登場したE2系は、登場時は同じ形状のパンタグラフを使用していたが、後にシングルアーム形に変更されている。

・台車

台車はSUミンデン式のボルスタレス台車、DT208とTR7007を使用している。

・連結器

E4系の醍醐味とも言えるのがこの「連結器」だ。16両運転の場合、下りは越後湯沢で切り離し、上りは高崎で連結するというのが、鉄道ファンのみならず多くの子供たちに愛された貴重な場面である。かつては16両で新潟へ行く便もあったが、2021年3月13日をもって廃止されてしまった。

E4系からの眺め(東京→新潟)

ここからは、東京~新潟間往復路の車窓及び乗車日の風景を紹介する。

東京駅20・21番線

私が乗車するよりも2~3時間ほど前に、21番線から東京駅を出発する8:04発のMaxとき/たにがわ403号越後湯沢・新潟行きが停車していた。車両は「Maxとき」をP12編成、「Maxたにがわ」をP14編成が担当した。

そして20番線には9:28発のMaxとき313号新潟行き(写真)が停車していた。車両はP11編成が担当した。この日は日曜日だったこともあり、鉄道ファンに加えて沢山の親子連れが来ていた。やはりE4系同士の連結は、子供はもちろん大人にも人気が高い。

上野~大宮

これぞ2階席ならではの光景!E5系の屋根を見ることができた。

大宮駅発車

たくさんの親子連れが降車。出発するE4系に手を振って見送る。

大宮~熊谷~本庄早稲田~高崎

ここからはE4系の本領発揮!!広大な田園風景を横目に、「ヒューヒュー」と音をたてながら速度を上げていく。

高崎駅

少し雨が降ってきたが、何人か撮り鉄が集まっていた。

上毛高原駅

意外なことに、向かい側のホームにはあまり人がいなかった。

越後湯沢駅

ここで「Maxとき」の出発と同時に、「Maxたにがわ」との分割作業を行う。

分割作業中のE4系### 越後湯沢~浦佐

眼前に広がる越後山脈と田園風景が広がり、終点の新潟へ向けて走行する。

新潟駅構内

2014年に塗装変更される前の、オリジナルカラーの「Max」のロゴマークが展示されていた。変更後から引退時までは、黄色の帯からピンクがかった「朱鷺色」の帯を巻いて走った。

E4系からの車窓(新潟→東京)

長岡~浦佐~越後湯沢

曇の切れ間から差し込む夕暮れの光が、Maxときを暖かく包み込むように照らす。

高崎~大宮

段々空が暗くなる中、緑が少なくなり郊外の街並みが見えてきた。もう少しで東京に着くころであることを思い知らされている感じがする。

上野駅

停車中、E5系が隣のホームに入線してきた。

東京駅20番線

ドアがゆっくりと開き、次々と乗客が降りていく。この後も私の乗ったE4系は引き続き「Maxたにがわ」となり、越後湯沢を目指す。何だか余韻に浸っている時間を与えない、忙しい時間が東京駅には流れているようだったが、それでも先頭車には多くの鉄道ファンや親子連れの姿があり、自分は本当に貴重な体験をさせてもらい、貴重な時間を過ごすことができたのだと実感した。

車内でできる感染対策

さてここからは、私がE4系の車内で実際に行った感染対策について紹介する。

アルコール消毒

基本的にはプラスチックやガラスなど、腐りにくい素材でできている箇所を中心にアルコール消毒をした。例えばテーブルや座席のひじ掛けは特に手を触れる機会が多いので、その部分は徹底的にアルコール消毒をする。コロナ禍でも楽しい旅行が出来るよう、ぜひ他の列車に乗る際も実践してみてほしい。

最後に

1997年の登場から24年、そして上越新幹線に乗り入れて約20年、E4系は「大量輸送に大きく貢献した新幹線」として、日本の鉄道史にその輝かしい功績を残した列車であると言える。例え引退して車体が解体されたとしても、E4系は私たちの心の中でこれからも永遠に走り続けるであろう。

たくさんの思い出と感動をありがとう、そしてお疲れ様、E4系Max。

【著者】東洋大学鉄道研究会

東洋大学鉄道研究会は、東洋大学白山キャンパス第一部の公認サークルです。「旅を楽しむこと」ことをメインに活動しており、日帰り旅や年2回の合宿、学園祭での企画展示などを行っています。

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