「人生にはユーモアを!」 元気届ける折り込みチラシ 

メッセージが際立つ折り込みチラシ

 「毎月1回お客さまが来ない夢で飛び起きます」「商売が楽しいと、一日が楽しい。得した、得した!」

 広島市南区の小さなスーパーの折り込みチラシ。昔ながらの1色刷りに躍る文句が見逃せない。小規模店の悲哀満載で開けっ広げ。店主が自らを鼓舞するようなフレーズに、何だかこちらの元気も湧いてくる。書き手は店の副社長。チラシは、大型店に押され廃業寸前で放った、起死回生の一打でもあった。

 1954年創業の「生鮮スーパーたかもり」。チラシ製作は副社長の伊木英人さん(47)が担っている。

 「人生山あり谷あり! 何かあったら助け合うのが仲間だろ? よーし! トラック市スタートだ!」。チラシの中の伊木さんは威勢がいい。そうかと思えば殊勝になって「毎日赤字だってお天道さまはまた昇る」「不安があるからこそ成長できると思うんです」としたためる。

 「私もそう思う」と、住民から電話が入ることもある。だじゃれで押し切った日も、「面白いのう」と声が掛かる。地元にファンは多い。

 チラシは、まだ続けますか―。「本当はね、しんどいんよ。来週は何を書こうか悩んで悩んで…。でも、これが原点。頑張ります」と伊木さんは力を込めた。翌週のチラシには、こう書いてあった。「花には水を、人には愛を、人生にはユーモアを!」(奥田美奈子)

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