【新型コロナ】東京都の「無症状感染者」は都発表の約4倍だった 都内公立病院らの研究発表

 東京都内の都立病院・公社14病院すべてが東京都医学総合研究所と連携し、病院を訪れて検査した一般外来の患者の余剰検体を使い抗体検査したところ、東京都が発表していたPCR検査による新規感染者数の延べ数の約4倍、無症状の感染者が出ていたと考えられることが分かった。研究チームでは感染爆発期には保健所による追跡調査が機能しなかったことが改めて示唆されたとしている。

発熱外来以外に来院した患者の検体を抗体検査

 今回研究チームが抗体検査を行ったのは、2020年9月1日から2021年3月31日にかけて14の都立病院・(公財)東京都保健医療公社病院の一般外来を受診した患者、延べ23,234人の余剰検体。同時期に発熱外来を訪れた患者、他の経路で陽性者と分かった患者は入っておらず、陽性だったとしてもすべて無症状だったと強く推定される集団だ。

 研究チームが検査結果をまとめたところ、陽性率は3.4%で、この時期に発生していた無症状の都内の感染者は470,778人と推計されると発表した。なお、この人数は同時期に東京都がPCR検査の陽性者として発表していた数の約3.9倍にあたる。研究チームは、日本の保健所が行う感染者追跡(積極的疫学調査)はパンデミックの初期には有効と考えられるが、今回明らかになったように感染者がかなり広がった状態では、その有効性は低下することが改めて示されたとしている。

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