再建の川崎・市民ミュージアム 歴史・文化引き継ぐ芸術拠点に 川崎市が「基本的な考え方」

台風19号で浸水し、岐路に立つ川崎市市民ミュージアム=同市中原区(写真は2018年当時)

 2019年の台風19号による深刻な浸水被害を受け移転再建の方針が決まっている川崎市市民ミュージアムを巡り、川崎市は、どのような施設が必要かを示す「新たな博物館、美術館に関する基本的な考え方」を策定し、18日の市議会文教委員会で報告した。

 新施設の役割として、新たな博物館では台風被災の事実や川崎の歴史と文化を未来に引き継ぐこと、美術館では市域の文化芸術を幅広く紹介し、市民の文化芸術活動の拠点となること─とした。また方向性として、文化芸術を通じた地域社会の担い手となる人材育成や学びの機会提供などを打ち出した。

 設置に当たっては、文化芸術振興会議からの答申に従い、従来のような博物館と美術館を一体化した施設を前提にしつつ、立地面の課題や財政状況によっては別々の施設として設置し連携させるとした。

 考え方の策定に向けては、9月にパブリックコメントを実施。71通、265件の意見が寄せられ、「公害を取り扱って」「デジタル技術を活用した保管、展示などの取り組みを」といった声が目立った。

 今後は考え方に基づき22年度中をめどに「基本構想」を策定し事業展開の方向性を決定。その後、開設地を踏まえた「基本計画」の策定に向けて詳細な検討を進める。また開設地が決定した後は、民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式の可能性などについても検討するという。

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