「岡山芸術交流」総合プロデューサー変更を求める陳情書を市民団体が提出。ハラスメント報道などを問題視

岡山県岡山市を舞台に、国際的な現代アーティストたちを招聘する国際展「岡山芸術交流」。2016年、19年に続き、3回目が2022年9月30日〜11月27日に開催される。

20年にはすでに、リクリット・ティラヴァーニャのアーティスティックディレクター就任などが報じられたが、今年11月8日には12ヶ国・24組のアーティストの参加をはじめとする詳細が発表された。

2019年の「岡山芸術交流」開催時の岡山駅前

本展の開催をめぐり市民から疑義が生じたことをきっかけに、総合プロデューサーの更迭を求める陳情書が、11月19日に市民団体から岡山市議会に提出されたことがわかった。

提出したのは、「岡山芸術交流を考える市民県民の会」。岡山市を拠点に芸術活動を行う市民を中心に、8月31日に設立された。

陳情書の件名は、「『岡山芸術交流2022』総合プロデューサーに専門家の就任を求める陳情」。
要旨には、「『岡山芸術交流2022』総合プロデューサーは資質に問題があり適任者とは言えないので、代えて岡山ゆかりで見識や実績のある専門家を就任させてください」と記されている。本展の総合プロデューサーは、第1回から石川康晴(公益財団法人石川文化振興財団理事長)が務めており、2022年も同様に発表されている。

陳情の理由は、大きくわけて2つ。まず1つ目は、過去2回に続き2022年も会場に指定されている岡山県天神山文化プラザの使用をめぐる内容。

岡山県の施設である天神山文化プラザは、同地を拠点とする展示団体の発表の場として利用されているが、同展が2ヶ月間占有することについて「市民・県民の文化活動をないがしろにするもの」と主張。

また第1回には「共用スペースであるピロティーや駐車場などで、館内の他の施設が稼働しているにもかかわらず占有使用し、飲酒を伴うレセプションパーティーを開催」したとし、問題視している。

2つ目は、現総合プロデューサーについて、「昨年、セクシャルハラスメント疑惑の問題が大きく報道されており、岡山芸術交流実行委員会から報道された内容にかかわる説明が無いまま、引き続いて就任させたこと」を納得できないとする内容。

「このままでは、主催者の岡山市や岡山県は、この問題を容認し不問にしていると受け取られてイメージダウンとなります」「第1回から務めている総合プロデューサーは、事業の立ち上げに参画し運営に貢献している功績は認められますが、専門家ではなくプロデュースの内容に問題があります」として、公共性の観点から、総合プロデューサーの再検討を求めている。

陳情書はこれらを理由に、「現総合プロデューサーは適任者であると言えないので、代えて岡山ゆかりで見識と実績のある専門家を就任させ、岡山カルチャーゾーンの狭い範囲で開催するという基本コンセプトの見直しから取り組むことで、市民・県民に受け入れられ浸透していく事業となるよう努めてください」と締め括られている。

岡山市議会事務局によると、陳情書は12月8日の受付締め切り後、議員へ通知するという。陳情書は岡山市議会議長が受理したのち、定例会で関係する常任委員会や議会運営委員会に付託され、最終的に本会議で採決し、議会としての結論が出される。

陳情書の全文は「岡山芸術交流を考える市民県民の会」のFacebookページにて公開されている。

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