「21世紀のステルス零戦が来る」日本の次期戦闘機に韓国が緊張

韓国の与党・共に民主党の大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事は14日、慶尚南道の泗川市にある韓国航空宇宙産業(KAI)を訪れ、次期戦闘機KF-21の開発現場を視察するなどした。

李在明氏はこの場で、当選した暁には大統領直属の「宇宙戦略本部」を発足させると表明。「現状では気象関連は環境部、軍事関連は国防部、産業関連は産業資源部などに分散しているが、これをひとまとめにする」などと述べた。

韓国は先月21日、独自技術で開発した初のロケット「ヌリ」の打ち上げを行うなど、宇宙開発部門に力を入れていく姿勢を見せている。李在明氏はこの路線の継承を強調した形だ。そしてもうひとつ気になるのが、戦闘機開発分野での動向だ。

李在明氏は日本に対する強硬な発言で知られるが、韓国には軍備増強を巡り、日本をライバル視する傾向が見られる。

例えば、世界日報の軍事専門記者であるパク・スチャン氏は、7月10日付でこう書いている。

「2030年代の空中戦に備える日本の動きが早まっている。1980年代に米国と日本が共同開発したF-2戦闘機を代替し、自国防衛産業の研究開発基盤を維持するための第6世代ステルス戦闘機開発に踏み出している。
(中略)
第2次世界大戦当時、連合軍を恐怖に震わせた『零戦』の後を継ぐ『21世紀のステルス零戦』が登場するのではないかとの観測が少なくない。4.5世代のKF-21開発を進めている韓国との技術的格差をいっそう広げる見込みだ」


韓国で、日本の次期戦闘機開発にこうした視線が集まるのは、自国が開発中のKF-21の「物足りなさ」故でもある。パク氏によれば、韓国ではすでに、日本の次期戦闘機とKF-21の格差を「少しでも縮める対策を急ぐべき」との指摘が出ているという。

ちなみに、KF-21の最大の弱点は兵装の貧弱さだと言われるが、その原因は米国が関連技術の共有を拒否していることにある。

韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する姿勢を見せ、米国から不興を買った出来事は記憶に新しい。GSOMIAの破棄はいったん回避されたが、米韓には大きなしこりが残った。

こうした経緯を考えると、韓国が今後、兵器開発で米国から大きな協力を引き出すのも簡単ではなさそうに思える。

米国にとって、文在寅政権の反日的な姿勢は頭痛のタネだったろうが、李在明氏はその上を行く可能性もあるのだ。

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