【MLB】大谷翔平が日本語の“先生”だった エ軍解説が明かす秘話と芽生えたNPBへの思い

エンゼルス・大谷翔平(左)にインタビューするホセ・モタ氏【写真:Getty Images】

大谷の満票MVPを祝福「スペシャルで歴史的。誇りに思います」

エンゼルス放送局「バリースポーツ・ウエスト」でレポーターを務めているホセ・モタ氏がFull-Count編集部のインタビューに応じ、MVPを受賞した大谷翔平投手の素顔を明かした。親日家として知られる名物レポーターは二刀流男の人間性や学んだこと、さらには将来的な日本球界進出への思いも芽生えてきたことを明かした。

――大谷がMVPを受賞した。今年の活躍を見て。

「インクレディブルで、スペシャルで、歴史的ですね。彼のことを非常に誇りに思います。2018年のスプリングトレーニングで初めて打撃練習を見ました。テンピで初めてメディア対応した時や、駐車場から球場入りして(当時監督だった)ソーシアと顔を合わせた時などを含め、そういった全ての出来事が目の前で起きました。友であるショウヘイがハイレベルな活躍ができたのは本当に特別なことです」

「100マイルの球を投げ、三振を奪えます。打席に立てば勝負強い。好投手相手でも大きな意味のある安打を打てます。あらゆる方向にホームランを打てます。それに走る姿が私は好きです。本当に足が速いです。盗塁したい気持ちを持っていますね。それでいて試合を楽しんでいるのです。試合に勝つことも大事にしています」

――エンゼルス戦の放送では日本語で実況する。
「全ての人とつながりたいと思っています。そして、日本の文化にも敬意を示したいと思っています。皆さんの存在が我々(MLBや球団)にとって大事だと知ってもらいたいのです。日本語で話せるようにトライしたいです。(日本語マスターまでの)道のりは長いですが、そうすることで敬意を表すことができると思うんです。仮に(日本語で話す時に)間違ってしまっても笑い飛ばしたいと思います」

――大谷から学んだ日本語はあるか。

「ショウヘイもイッペイもたくさんの言葉を教えてくれました。ショウヘイから教わった最初の言葉は『クツ』です。その後(バットの)『シン(芯)』。『ウチュウカン(右中間)』『サチュウカン(左中間)』『サンシン(三振)』とかもですね。それから日常的なもので『コンニチハ』『アリガトウ』『マタネ』もあります。たくさん教えてもらいました」

「『テレフォン』がどういうのかも教わりましたが、忘れてしまいました(笑)。教わった言葉をまとめたリストも持っていますよ。『(手に出来る)マメ』『テブクロ(手袋)』『ヒッパリ(引っ張り)』『ギャクホウコウ(逆方向)』、そして数字の『40』とかも教えてもらいました。日本語を教えてくれる最高の先生が最高の選手ということで、実にハッピーですね。私はスペイン語と英語で実況ができますが、いつの日か日本語でもできるようになっているといいですね」

「バリースポーツ・ウエスト」レポーターのホセ・モタ氏【写真:小谷真弥】

大谷の人間性に感服「野球の象徴的存在、毎晩見せ場を作ってくれますね」

――大谷の人間性をどう思いますか。

「遊び心がある選手ですし、普段から嬉しそうにするんですよね。子どもたちにプレーを見てほしいと思っているし、彼らに楽しんでもらうことを望んでいます。野球の象徴的存在です。エンターテイナーとして、毎晩見せ場を作ってくれますね」

――大谷のプレーを見て日本球界に興味を持つようになった。

「日本ではトレイ・ヒルマンやボビー・バレンタインも監督をしていましたね。日本人選手の準備の仕方、そして野球への敬意。私は日本選手の姿をとても楽しんでいます。(日本の野球は)面白いと思っています。WBCでたくさん日本の野球を見ました。細かい部分にまで意識が行き届いている部分が、見ていて楽しいですね」

――第1回WBCから日本に注目していた。

「ダイスケは覚えていますね。そしてサダハル・オウにも会いました。彼との写真も持っていますよ。ウエハラも勿論覚えています。私は第1回大会の決勝戦で現場にいたのですが、素晴らしい戦いでしたね。イチローのこともはっきりと覚えています。正しいプレーをして試合に勝つことが大事ということが、彼(イチロー)のプレーを見ていて伝わってきました。(日本代表選手の)全員の名前は難しいですが、(イチローら)前述の選手たちのことは刻銘に覚えています」

――プロ野球の指導者として来日したい思いもある。

「日本に行ったことはないのですが、行ってみたいです。なぜならここで出会った日本の人たちはとても良い人たちなので。非常に礼儀正しいですね。『日本に来てくださいね!』といつも声を掛けられるので、妻といつもその話をしているのです。それに私はドミニカからの移民なので、文化的なことに興味があるのです。文化の特徴や食べ物、子育て、言語、歴史について理解を深めたいと思っています」

「球団は問いません。とにかく野球が好きなんです。日本に行けたらの話ですが、ショウヘイがプレーした北海道を見に行きたいですね。ジャイアンツやライオンズといった球団の伝統も好きです。しかしながら監督やコーチをするとなると、どの球団でもやってみたいです」(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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