<南風>イメージ力を磨け!

 現在、プロボクサーのマネージャーであり、ゴルフに打ち込む娘がいるという環境から、スポーツ選手にとって「イメージトレーニング」は、肉体的なトレーニング・心身を整えるコンディショニングと同等の重要性があると強く感じる。私自身もスポーツ競技者として、イメージトレーニングを行ってきた経験から「イメージトレーニング」には2通りあると考える。

 一つ目は、演技や技を効果的に習得するため、理想とする体の動きを頭の中で鮮明にイメージすること。イメージし実際に身体を動かす、これを反復することで脳から筋肉への神経ネットワークが強化され記憶される。「体で覚える」とはこのこと。スポーツは、実は脳でするもの。脳が運動機能の司令塔であり、鮮明なイメージが効率的なパフォーマンス上達につながるというわけだ。

 二つ目は、試合数日前の自身の行動イメージング。朝起きたところから試合に向かい、準備し、試合運び、勝利、その時の自分の気持ちまでイメージする。試合中のピンチの状況も想定する。成功イメージとともに、起こり得るさまざまな状況をイメージすることは脳の疑似体験となり、実際にピンチに直面したときにも慌てず対応することができる。このように、自身の行動イメージングは試合本番においてのメンタルコントロールに大いに役立つ。

 いずれも、脳がイメージによる成功体験や疑似体験を積み、私たちはそこから得られる自信や感覚・経験を実世界において生かしているのだ。脳は「実際の経験」と「頭の中で鮮明に描いた想像上の経験=イメージ」を区別することが苦手だそうだ。つまりイメージトレーニングは「脳をだます」こと。脳は運動機能をつかさどっているが、イメージ力を磨くことでその脳をコントロールできるとは興味深いものだ。

(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジムマネージャー)

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