【高校野球】どよめき、ため息、歓声… 花巻東のスーパー1年生・佐々木麟太郎“怪物伝説”の幕開け

花巻東・佐々木麟太郎【写真:荒川祐史】

初回の第1打席、初スイングで右翼席へ弾丸ライナーで運ぶ高校通算48号

2年ぶりの開催となった明治神宮野球大会。20日の開幕戦で高校野球ファンの視線を独り占めにしたのは、花巻東のスーパー1年生・佐々木麟太郎内野手だった。豪快アーチを放つなど鮮烈な全国デビューを飾り、“怪物伝説”の始まりを予感させた。

まだ1年生ながら、積み上げた本塁打は47本。規格外の数字を引っさげて全国の舞台に登場した大砲は、名刺代わりの一発でスタンドをどよめかせた。初回2死で迎えた第1打席、1ボールからの2球目を振り抜き、右翼席へ弾丸ライナーで高校通算48号ソロを突き刺した。

この豪快弾で、球場の空気は一変した。第2打席は中犠飛、第3打席ではストレートの四球で出塁。スイングするたびに上がる歓声と期待感。そして1点を追う7回1死満塁の好機で打席に入ると、再びスタンドは歓声に包まれた。

第1打席でソロを放った花巻東・佐々木麟太郎【写真:荒川祐史】

1ボールからの2球目を仕留めきれずに一塁側に飛球が上がると、観客は一斉にため息。だが、打球がそのままカメラマン席の屋根に当たりファウルになると「おぉー!」と歓喜の声に変化するほど、怪物1年生の打席を球場全体が待っていた。

結果的に、2本目の犠飛を放って同点に追いつくと、そこからチームは3連続タイムリーで一挙4点を奪って逆転に成功した。佐々木は先制ソロを含む1安打3打点1四球。東北大会中に左すねを疲労骨折し「まだ痛みはある」という中での活躍だから末恐ろしい。

この日、国学院久我山の外野陣は佐々木が打席に入ると極端に右方向に寄り、フェンスいっぱいまで下がる“麟太郎シフト”を敷いていた。故障を抱えながら衝撃の全国デビューを果たした1年生。来春の選抜大会でも、全チームからマークされる存在になるのは間違いない。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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