【新宿ゴールデン街交友録 裏50年史】キョンキョンの舞台出演も実現! 酒場は人と人をつなぐ交差点

前列左から山田まりや、1人挟んで筆者、春風亭昇太(花園神社楽屋にて)

新宿ゴールデン街は歌舞伎町1丁目だ。ど真ん中に位置している訳だが何故か裏路地のイメージが強い。そう、隠れ家的な存在なのだ。そういう意味では本当に酒が好きな人達が集まって来る。「クラクラ」もちょっと一杯!というお客さんより、ほとんどがボトルキープしているお客さんばかりだ。中には入れたボトルを仲間内で共有し、空になったら誰かが入れるという人もいる。

落語家の春風亭昇太師匠(61)のボトルも若い落語家が来ると「師匠のボトルで!」と飲んでいく。昇太師匠も芝居が好きで小劇場仲間と劇団を組んだり、出演したり、バンドを組んだりと多才な芸人さんだ。そんなクラクラの縁で、12年前の椿組・花園神社野外劇にも出てもらった。演目は「新宿ジャガジャガ」(中島淳彦・脚本演出)。山田まりや(41)も出演し賑やかに1969年の新宿西口フォークゲリラの話を上演した。

昇太師匠も今は「笑点」の司会、落語芸術協会の会長となり、多忙な日々だが「末広亭」出演の時などは顔を見せてくれる常連組の一人だ。

やはり芸人というより今は役者といった方がいいだろう、キッチュこと松尾貴史(61)も常連組だ。まだ「まえだ」のママが健在の昔、前田孝子ママやキッチュと原田芳雄邸で飲み、泊まり朝ご飯をよばれた時が出会いかな。それから仲良くさせてもらっている。ウイスキー角にレモンを絞り飲むのでクラクラにはレモンは欠かせない。今は二兎社の「鴎外の怪談」(東京芸術劇場シアターウエスト)に出演中だ。観にいかねば!(笑)。

何度も書いているが「酒場は人と人を繋ぐ交差点」と。そんな飲み屋の縁で私の主宰する劇団椿組に出演してくれた一人に小泉今日子(55)がいる。椿組が花園神社で上演していた「四谷怪談」を観にきて、その繋がりで「クラクラ」にも飲みに来てくれ、トントンと出演の話まで繋がった。

2018年、下北沢「ザ・スズナリ」公演「毒おんな」(青木豪・脚本/高橋正徳・演出)だ。首都圏婚活連続殺人事件の木嶋佳苗死刑囚(46)をモデルにした物語。「誰よりも“あたし”が好き」とキャッチコピーに書いたように可愛い女を演じ、中年(老人か?)の私が一目惚れしてしまう役だった。劇中とはいえ、キョンキョンに恋する男を演じられて幸せな時間だったな…! そんなキョンキョンのボトルもクラクラに鎮座している。 (敬称略)

◆外波山文明(とばやま・ぶんめい)1947年1月11日生まれ。役者として演劇、テレビ、映画、CMなどで活躍。劇団椿組主宰。新宿ゴールデン街商店街振興組合組合長。バー「クラクラ」オーナー。

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