島原で地域の防災力強化に向けた全国大会 消防団や行政の連携が必要 

消防団と自主防災組織の連携について討論する関係者=島原市平成町、島原復興アリーナ

 消防団員ら43人が犠牲になった1991年6月3日の雲仙・普賢岳大火砕流から30年が過ぎた長崎県島原市の島原復興アリーナで20日、「地域防災力充実強化大会in長崎2021」があり、研究者や行政機関、住民代表らが、消防団や自主防災組織と行政が連携して地域の防災力を高める取り組みなどについて語り合った。
 総務省消防庁などが主催し、長崎新聞社など共催。同大会は15年からほぼ毎年全国各地で開催している。今回は基調講演、事例発表、パネル討論の3部構成。約780人が聴講した。
 パネル討論では、研究者や住民の代表ら5人が登壇。島原市の協力で形骸化していた自主防災組織を再構築した同市安中地区自主防災会の横田哲夫会長は「近年の大規模災害は行政任せでは対応できない。行政と消防団、住民が一体となって取り組む必要がある」と強調。「避難訓練などで住民の防災意識も高まった。30年前の教訓を生かして二度と犠牲者を出さないとの思いで取り組んできた」と活動を紹介した。
 熊本大の北園芳人名誉教授は、熊本市の自主防災組織が、活動資金を補うために取り組んだ町内での廃品回収作業を紹介。「各家庭への巡回が見守り活動となり、顔の見える関係が構築され、地域住民の関係が良くなった」と地域コミュニティーの活性化にもつながったことを報告した。
 最後に、古川隆三郎島原市長が「今大会を通じて得られた地域防災のあり方を、自主防災組織の再編や消防団との連携強化につなげ、新たな地域コミュニティーの確立を図るとともに日本一の自主防災組織を目指していく」と宣言し、閉会した。

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