野原HD、図面積算WEBサービスに「部屋名」表示の新機能

野原ホールディングス(東京都新宿区)のVDC(Virtual Design & Construction)カンパニーはこのほど、今年3月から一般公開しているAI図面積算WEBサービス「TEMOTO(テモト)」に、「部屋名」を認識して積算結果に表示する新機能を搭載したと発表した。

「TEMOTO」は、同社がAI技術開発やビッグデータ解析に取り組むZENTA(東京都渋谷区)、AI・機械学習ソリューションを開発するNexus FrontierTech Ltd(イギリス、ロンドン)と共同開発したWEBサービスで、平面図(PDF)に記載された情報をAIが読み取り、部屋の内法面積等を自動で概算積算しデータ化するもの。図面認識精度は90%以上で、簡単な操作で約1時間以内に積算結果をデータ化できるという。今年3月30日からベータ版を無償で提供しており、積算担当者が手動で面積等を算出する「手拾い作業」の効率化をサポートしている。また、無償提供することでより多くのユーザーに利用してもらい、データの蓄積量を増やしてAIの機械学習の精度向上も図れるとする。

「TEMOTO」の積算結果画面イメージ

今回追加搭載されたのは、図面認識AIによって認識・抽出できた「部屋名」を積算結果画面に表示する機能。リビング、洋室、ホール、WICなど部屋名と平米数を表示することで、例えば、設備機器メーカーが部屋ごとに必要な設備の機能や性能、自社製品の最適配置ができるようになる。また、清掃会社や空間スキャニング業社などの各種見積もり作成においても正確さ効率化が図れる。

平面図(PDF)に記載された情報をAIが読み取り、データ化(内法面積を計測)。新機能では部屋名が自動的に入るように

同社担当者は、「積算業務は作業負荷が多く人為的ミスを誘発しやすい点が課題となっている。また手間や労力がかかる割に報われないことも多いと言われている。本当に忙しくなる見積もりのピーク(来春以降)の前に、β版をぜひ試して慣れてもらい、ピーク時にスムーズに利用できるようにしてもらえれば嬉しい」と話す。

今後は、正式版公開にむけた機能改善を予定。AIの図面認識精度の向上とともに、サービス対象となる図面種類の拡充を図る。また、ユーザーの業務効率向上につながるような機能を追加していくとしている。

建設業界において「手元(てもと)」は職人の仕事を下支えする補助者のことを意味しており、「TEMOTO」では最先端の技術が人に寄り添い仕事をサポートする役割を果たすことで、人とAIがより効率的で高い価値を共創することを目指す。

© 株式会社新建新聞社