奥川、紅林、宮城が2年目で日本シリーズに… 大豊作“朗希ドラフト”の主役たち

20歳迎える2019年ドラフト組の躍進が目立っている【写真:荒川祐史】

高卒2年目に日本シリーズ出場者を3人生んだ“朗希世代”

高卒2年目、ハタチを迎える学年の躍進が凄まじい。20日に開幕した「SMBC 日本シリーズ2021」第1戦では、ヤクルトの奥川恭伸投手が7回1失点の好投、オリックスの「8番・遊撃」で先発した紅林弘太郎内野手が4打数2安打と大活躍を見せた。21日の第2戦ではオリックスの宮城大弥投手が先発。敗戦投手にこそなったが、8回途中1失点と好投した。すでに大豊作の香り漂う2019年ドラフトでプロ入りした選手の「今」を確認したい。

当時、最大の注目は佐々木朗希投手(大船渡高)だった。1位でロッテ、西武、日本ハム、楽天の4球団が競合し、ロッテが引き当てた。昨季は体づくりに充て1軍登板がなかったものの、今季は1軍11試合に投げ3勝2敗、防御率2.37。クライマックスシリーズではファイナルステージ初戦の先発をパ史上最年少で任されるなど、来季の本格化に期待がかかる。

星稜高の奥川には巨人、阪神、ヤクルトの3球団が競合し、ヤクルトが引き当てた。昨年1軍初登板し、今季は9勝4敗、防御率3.26。当時から武器と言われた完成度の高さを見せつけ、1軍に定着している。抽選に敗れた阪神が指名した西純矢投手(創志学園高)も今季2試合で1勝1敗。さらに3位指名の及川雅貴(横浜高)は39試合に投げ10ホールドを記録するなど、すでに欠かせぬ戦力だ。

一方、巨人が指名した堀田賢慎投手(青森山田高)は育成選手としてプレーしている。1年目の春に右肘を手術、今年8月に実戦復帰し、アマチュアとの練習試合で150キロ超の直球を披露するなど、今後に期待がかかる。

「外れ外れ1位」と「2位」が大当たりのオリックス

さらに、石川昂也内野手(東邦高)には中日、オリックス、ソフトバンクが入札し、中日が引き当てた。石川昂は1年目から1軍14試合に出場し打率.222。今季は左尺骨を折る故障で1軍出場なしに終わったものの、新任の立浪和義監督が大きな期待をかけている。

石川昂を外したオリックスは、さらに河野竜生投手(JFE西日本)の抽選で日本ハムに敗れ、外れ外れ1位として指名したのが興南高の宮城だ。今季13勝の活躍は、オリックス25年ぶりの優勝に欠かせなかった。さらに2位の紅林(駿河総合高)は昨季最終盤で1軍デビューし、今季は遊撃を守って開幕スタメン。136試合で10本塁打を記録し、守備も試合に出ることで大きく成長した。現状、このドラフトで最も成功した球団といえるのではないか。

DeNAは森敬斗内野手(桐蔭学園高)、広島は森下暢仁投手(明大)を1本釣り。森下は1年目に10勝3敗で新人王。今季は東京五輪の日本代表入りして金メダルを獲得した。森は2年目の今季、44試合に出場し打率.194と出番を増やしている。楽天が外れ1位で獲得した小深田大翔内野手(大阪ガス)は昨季、112試合で打率.288を残し新人王投票で僅差の2位。今季も121試合に出場とチームの顔だ。

実に11球団が高校生を1位入札した。佐々木朗希が大きな目玉だったこのドラフトは、わずか2年で新たな展開を見せている。“朗希世代”からは今後も目を離せそうにない。(Full-Count編集部)

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