発売前から絶賛の声続々! 富安陽子が描く上野の博物館を舞台にした明治時代×︎あやかしミステリー!

株式会社偕成社は、 児童文学作家・富安陽子が明治時代を舞台に描く『博物館の少女 ----怪異研究事始め』を12月6日に発売。 運命に導かれ、 文明開化の東京にやってきた少女イカルは、 上野の博物館の古蔵で怪異の研究をしている老人の手伝いをすることになる。 日本に誕生して間もない博物館を舞台に、 謎が謎を呼ぶ事件を描くミステリアスな長篇。 舞台は明治時代の東京・上野周辺。 文明開化にわき、 西洋文明を取り入れて博物館や動物園を作ったり、 鉄道馬車などの新しい交通手段が生まれる一方、 江戸情緒もまだのこり、 物の怪など、 この世のものではないものも信じられている時代。

明治16年、 文明開化の東京にやってきた、 大阪の古物商の娘・花岡イカルは、 親戚のトヨの用事で上野の博物館を訪れた際、 館長に目利きの才を認められ、 博物館の古蔵で怪異の研究をしている織田賢司(= 通称トノサマ)の手伝いをすることになる。 トノサマの指示で蔵の整理を始めたイカルだったが、 台帳と収蔵品の照合を終えた後、 黒手匣(くろてばこ)という品物だけが何者かによって持ち去られたことが発覚した。 いったい誰が、 何の目的で盗んだのか。隠れキリシタンゆかりの品とも噂される、 この匣に隠された秘密とは。持ち前の目利きの才で、 イカルは、 トノサマ、 そしてトノサマの奉公人のアキラとともに、 深まる謎に迫ることに。 主人公は、 目利きの才をもつ少女 という、 珍しい設定。 気立てが素直で、 いきのいい大阪弁で感情が表に出てしまうイカルは、 誰もが好きになる主人公。 若くして名品の価値をぴたりとあてる姿は、 すがすがしくかっこいい。その才能は謎ときにも一役買う。怪しげな古道具屋やカソリックの天主堂などを巡りながら、 イカルが不思議な匣の秘密に迫っていく過程の面白さは、 抜群のストーリーテラーである著者ならでは 。第165回直木賞受賞作『星落ちて、 なお』の主人公でもある 河鍋暁斎の娘・トヨなど、 実在の人物が多数登場 。 当時の資料や古地図をもとに時代の雰囲気を生き生きと甦らせ、 そこに驚くべき謎を秘めた物語を織り込んだ魅惑の作品。

おもな登場人物

◆花岡イカル:大阪の古物商の娘。 13歳。 若いながらも、 古道具を見立てる目利きの才を持つ。 ◆河鍋トヨ:イカルの遠縁にあたる少女。 15歳。 実在の人物で、 絵師・河鍋暁斎の娘、 弟子でもある。 ◆織田賢司(トノサマ):織田信長直系の子孫。 実在の人物で、 維新後は博物館に勤務していた。 ◆アキラ:トノサマの奉公人。 どこか謎めいた少年。 ◆町田久成:実在の人物。 博物館初代館長を辞任後、 仏門に入る。 ◆田中芳男:博物館の2代目館長。 「日本の博物館の父」と呼ばれる実在の人物。 *登場人物のイラストは本作の表紙を手がけた禅之助さんによる、 販促用の描き下ろし(本には収録されていません)

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