国立映画アーカイブ、展覧会「MONDO 映画ポスターアートの最前線」開催!

国立映画アーカイブでは、 2021年12月7日(火)から2022年3月27日(日)までの約4か月間、 展覧会「 MONDO 映画ポスターアートの最前線 」を開催。 一世紀以上にわたって映画宣伝の核となってきたポスター―それは時代や地域によってスタイルを変えながら、 映画館に向かう私たちの心を絶えず躍らせてきた。 現代では広報メディアの主軸はインターネットに移りつつありますが、 今世紀に入って、 宣伝という枠にとらわれない、 アートフォームとしての映画ポスター復権の動きも生まれている。 その最先端にいるのが、 アメリカはテキサス州オースティンを本拠地に、 鋭い感性を持つデザイナーやイラストレーターに委嘱、 旧作・新作映画の垣根を超えたオリジナル・ポスターを生み出しているMONDO(モンド)。 2004年に映画館「アラモ・ドラフトハウス」系列のTシャツ店として生まれ、 映画のサウンドトラックやオブジェなども制作してきましたが、 何よりも、 スクリーンプリント技法で印刷される限定版の映画ポスターはオンラインショップを通じて各国に熱狂的なファンを獲得している。国立映画アーカイブと京都国立近代美術館が協働して開催する映画ポスター展第9弾となる本展では、 このアート集団自身の提供による無声映画から最新作までのポスター71点を展示。 映画作品のエッセンスを活かしながらも、 あくまでアーティストの作風が尊重されるMONDOの作品は一様ではありません。 ぜひ、 宣伝とは一線を画した“オルタナティブ・ポスター”の世界を、 豊かな質感をたたえた実物のポスターでご確認を

世界に熱狂的ファンを生んだ最新形の映画ポスター・カルチャー

MONDOは、 2004年に映画館「アラモ・ドラフトハウス」系列のTシャツ店として生まれた。 やがて、 Tシャツよりも独自に制作した映画ポスターが人気を呼び、 映画配給会社による宣伝用ポスターとは別の、 グラフィック・デザイナー、 イラストレーター、 画家、 版画家、 コミック作家といったアーティストたちが映画を自在にそして斬新に解釈した「オルタナティブ(もう一つの)・ポスター」というカルチャーを生み出した。現在ではネット販売による事業拡大でポスターのほかにも、 Tシャツ、 フィギュアやゲームといった商品も送り出して世界中にファンを獲得している。

アメリカを中心にマルチジャンルのアーティストに制作を委嘱

MONDOに結集するアーティストは、 その本来の活躍フィールドや芸術的な出自もさまざま。 アート・ディレクターを務めるロブ・ジョーンズは、 もともと地元オースティンのコンサートポスター制作者として活動。 自身で制作するだけでなく、 音楽ポスターの仲間たちにもデザインを委嘱し、 ダニエル・デインジャー、 ジェームズ・フレームズ、 リッチ・ケリー、 ジェイソン・マン、 ジェイ・ライアン、 トッド・スレーター、 タイラー・スタウトといったギグ・ポスターの名手たちがMONDO初期から活躍。 グラフィック・アーティストのマルティン・アンシンやオリー・モスはMONDOでその才能を一躍知らしめた。 その他、 エミネムのオフィシャル・デザイナーとして知られるマイク・サプート、 マーベルやヴァーティゴ・コミックスなどで作品を発表するベッキー・クルーナン、 ヴィデオゲーム「バトルフィールド」シリーズのコンセプト・アーティストのロバート・サメリンなど、 ベテランから若手まで多彩な才能がMONDOに集まっている。

手作り感たっぷりのスクリーンプリントによる美麗で質感あふれる作品

MONDOポスターのほとんどに使われているスクリーンプリントとは、 木枠や金属枠に目の細かい繊維(スクリーン)を張った版を用いる孔版形式の印刷技法のひとつ。 MONDOのウェブサイトや刊行された作品集でもその独創的なデザインの数々を充分に楽しむことはできるが、 デザインの色の数だけ版を作成し、 1色ずつインクを刷り重ねたスクリーンプリントの圧倒的な質感は、 実物を見ることでしか味わうことはできない。

国公立の映画機関/美術館企画としては世界初

本展では、 MONDOのオフィスから直接提供を受けた傑作ポスター計71点を展示しています。 これまでMONDO自身による小規模な展示が行われたことはあるが、 国公立の映画機関や美術館で展覧会が開催されるのは世界で初めてのこと。 また、 本展は会場内での撮影がすべて可能となっている。東京展の終了後には、 京都国立近代美術館にも巡回。 関西の映画ファン、 グラフィックアートファンの方々もご期待を。2022年5月19日(木)~7月18日(月・祝) 京都国立近代美術館(4階コレクション・ギャラリー)

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