【ファンファン北九州#39】北九州国際交流協会 国際理解推進員  スリラーム ラジャラームさん<前編>

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

なぜ日本語がこんなに上手? 日本の歴史に興味を持ったのがきっかけ

甲木:おはようございます!西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

横山:西日本新聞社の横山智徳です。

甲木:以前、ゲストで出ていただいた西本さんが「アジア女性交流研究フォーラム」で働いていたんですが、その職員さんと私が親しくて、なんと(その職員の方が)今日のゲストを知っていたんですよ。

横山:どういう経緯なんですか?

甲木:そこは英語を使う仕事なので、面接の時に英語のテストがあるんですって。そして、今日のゲストがなんとその面接官だったんですよ。だから、今日のゲストとは英語で話さなきゃいけないんだよ。(笑)

横山:勘弁してください。ただでさえ黙っているのにー。(笑)

甲木:それでは、本日のゲストをお呼びしましょう。北九州国際交流協会で国際理解推進員をしているシンガポール人のスリラーム ラジャラームさんです。よろしくお願いします。

スリラーム:よろしくお願いします。

甲木:日本語でしょ?(笑)

横山:はい。(笑)

甲木:実は、スリラームさん日本語ペラペラなんですよ。なので、安心して進めたいと思います。公用語が英語でインド系の方なのに、なぜ日本語がこんなに上手いんですか?

スリラーム:実は私、中学1年生の頃、日本の第二次世界大戦の歴史にちょっと興味があって。これだけ自分の国のために「死ぬ」という民族が、どういう人たちなのか知りたい。でも、それは英語で読むよりも、日本人から聞きたいし日本語で読みたいと思い、自分で調べてちょっとだけ日本語を勉強しようと。まあ、1年だけ勉強してすぐ諦めたんですけど。(笑)その1年のおかげで、基本的な文法を少し覚えて。でも、普通の日常会話は日本に来てからしかできなかったんですね。

シンガポールで就職するもいつか日本に住んでみたい

甲木:でも、なぜ来日したんですか?

スリラーム:シンガポールで大学を卒業して、アメリカの石油関係の大きな会社に就職して、収入も良いし、頑張って働いていけば良いんじゃないかと思っていたんです。でも、1回だけでも日本に住んでみたいという気持ちがありまして。やるだけやってみようと思い、いろんな会社に応募しました。それで、採用されたのが、福岡県内の中学校のALTの先生の仕事で。1年間の契約だし、お母さんにも1年だけという約束をして来日しました。

甲木:ALT=Assistant Language Teacherですね。じゃあ、お母さんも「1年だけなら行って来ていいよ」って言ってくれたんですね。今何年いるんですか?

スリラーム:今年でもう8年目なんです。(笑)

甲木:ちょっとそれ、お母さんの約束…。(笑)

スリラーム:あの…もう…約束を破ってしまって…。(笑)1年経って、「1年じゃ足りないんじゃないか。もう1年だけ頑張りたい!」とお母さんに相談して「もう1年ならいいよ」って。でも、2年経って3年目には民間会社の管理職になって、「正社員になったよ。正社員だからもう少し頑張ってみたい。もしかして何か縁があるんじゃないか」ってお母さんに話したら、「まあ、もうちょっとならいいよ」と言ってくれまして。

北九州のイメージが良くないのがかわいそう

甲木:北九州にもっと住んでいたいって思われた理由は?もちろん、学校で子ども達に教えるのも楽しかったんでしょうけど、他に北九州が好きになった理由は?

スリラーム:私、ずっと北九州市に住んでいますが、北九州のイメージがあまり良くないのがかわいそうで…。シンガポールにいた日本人の友達に「日本に行くよ」って言った時も、「日本のどこ?」って聞かれて、「北九州」って答えると「えぇー!?本当?ちょっと危ないよ」と言われて。

甲木:ひどーい。

横山:それ本当!?

スリラーム:本当なんですよ。

横山:国際的に危ないって言われてるの?(笑)

甲木:日本人の方なんですよね?

スリラーム:日本人の友人です。北九州以外、福岡県外の方から見ると、北九州はちょっと危ないイメージ。でも、何年も住んでいて思うんですけど、それって違うんじゃないかなって。他の地域と比べて意外と住みやすいし、そんなに危なくないと思うんです。だから、みんなのそういう勘違いやイメージだけだと思うんですよね。

甲木:そうなんですよ。世界に発信してください!

スリラーム:ぜひ頑張ります!

甲木:やはり英語ネイティブの方が言ってくださると力強いですよね。

商店街で飲み歩き マスターやお客さんが温かい

甲木:あと、街に飲みに行ったりもして、結構仲良くなったりされたんですよね?

スリラーム:結婚前はずっと1人暮らしだったので。家の近くに商店街があって、夜1人で飲み歩きということで、商店街の全く知らないお店に入って。面白かったのは、マスターは全く英語が話せないのに「はい、どうぞ。何にしますか?」って普通に接してくれて。もしかしたら、変な外国人が入ってきたって思われたかもしれないですけど。(笑)でも、それが温かいなって思ったんですよね。そういう横のつながりというか。マスターや他のお客さんといろんな話をして結構楽しかったですね。

甲木:じゃあ、街のことを教えてもらったりとか?

スリラーム:はい。

甲木:それは、スリラームさんが人懐っこい感じだから、おじちゃん達も心を許したんじゃないですか?

スリラーム:いや、私、普段は知らない人にあまり話しかけないんですよ。でも、1人だから、話しかけられたらちょっとだけ話そうかなと思って。そこから盛り上がって仲良くなって。

甲木:そうなんですか。すごく人懐っこく見えますけど。

横山:語学を勉強するのは飲み行くのが一番良いって言いますよね。

スリラーム:そうですね。

甲木:やっぱり「飲みニケーション」っていうのは大事なんですね。

〇ゲスト:スリラーム ラジャラームさん(北九州国際交流協会 国際理解推進員)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞社北九州本社)

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