【高校発・みやざきSDGs】ー35ー高千穂(下) 「世界農業遺産」発信

高千穂高生徒による世界農業遺産の出前授業

 「世界農業遺産(GIAHS)は、世界遺産とどう違うのでしょうか」。世界農業遺産の認定を受けた高千穂郷・椎葉山地域(高千穂町・日之影町・五ケ瀬町・諸塚村・椎葉村)の小・中学生などに、本校の特別クラブ「GIAHSアカデミー」は出前授業を行っている。ここ4年間、最大で年間約800人にその概要を伝えてきた。
 5町村による高千穂郷・椎葉山地域活性化協議会が設立した同クラブの目的は、地域に自信と誇りを持つ人材の育成だ。宮崎大による特別授業や特色ある生産者への取材と体験、海外大学生とのスタディツアーなど豊富な学びの成果を、情報誌「食べる通信」(NPO法人高千穂アカデミー発行・五ケ瀬中等教育学校と共同執筆)や小・中学校への出前授業、GIAHSブログで地域情報として発信している。
 「ここの農業と文化は、現在でも生きている遺産」「私たちの当たり前が、世界から見るとすごいんだ」。高校生が得た自信は、今では小・中学校の地域研究に受け継がれ、優れた成果を挙げている。世界農業遺産の地元での認知度は確実に高まっている。
 実は本校自身も、GIAHS産品の生産者だ。生産流通科は農場で草花・野菜・繁殖牛などを育てており、中でも完全無農薬で栽培する茶が人気だ。生徒は「作業は大変です」と語る一方、「釜炒り茶という作り方が魅力」と全国でも希少な地域独特の製法に胸を張る。
(教諭 吉田弘志)

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