〈じょうえつレポート〉降雪期間近 大雪に備え 上越市 昨冬の教訓基に対策市民の協力も呼び掛け

 今年も間もなく降雪期を迎える。上越市では例年、11月中旬から山間地で降雪が確認される。昨冬は記録的な豪雪となり、市はその被害を教訓にさまざまな除雪対策を講じるが、必要不可欠なのは市民による協力という。市道路課雪対策室に話を聞いた。(報道部・笠原基記者)

情報発信や対応能力強化

 上越市は除雪車の稼働状況や市内39地点の積雪量、24時間降雪量をホームページ上で掲載している。昨冬はアクセスが集中し、一時はホームページの閲覧が困難になった。市は物理サーバーをクラウド化して対応。問い合わせが集中した電話も昨年同様、コールセンターを増強して対応する。

 また、スムーズな除雪体制に向けて除雪事業者、町内会と連携。臨時雪捨て場の開設に向けて国や県とも連絡を密にし、各種手続きが素早くできるよう対応を進めている。

宅地状況変化不測トラブル

 昨冬の大雪では近年の状況変化も感じられたという。ある担当者は雪押し場として使える空き地が減少していると指摘。「空き家は増えても、空き地は減っている」と話す。

 また、住宅は耐雪構造がきちんとしている一方で、カーポートや簡易的な家の囲い、見た目重視の生け垣など、雪の重みに耐えられない構造物が増えている。これらは倒壊により道をふさいだり、隣家に被害が及んだりと、予期しないトラブルのもとにもなり得るという。

 前述の担当者は「昨冬の大雪を体験して、建て替えなどの対策を取っている方もいるのではないか」と協力に期待した。

円滑な除雪へ八つのお願い

 円滑な除雪作業のため、上越市は降雪期前に路上駐車の禁止や除雪車に近づかないなど「六つのお願い」を各町内に回覧している。今年は新たに農業用水に雪を捨てない、危険な箇所は自分でポールを立てるを追加し、「八つのお願い」を呼び掛け。

 前者は雪が詰まることで周囲に水があふれる被害を防ぐため、後者は雪中に埋まった木、建造物など、除雪機が巻き込んで損壊する恐れがあるものが存在することを知らせるため。除雪作業のため、事前に事業者が現場をパトロールするが、短時間に大量の雪が降った昨冬は、こうしたものの位置を把握することが非常に困難だったという。

 また、昨冬は車で移動中にタイヤが空転する「スタック」が多発。近所の店への買い出し中が多く、同課担当者は「スタックした車両から大規模な渋滞につながったケースもある。仮に店に到着しても、豪雪で物流が止まっているため、目当てのものを買えない可能性が高い」とし、「食料や燃料の購入は可能な限り事前に、どうしても必要なものは歩いて行ける範囲で買う。不要不急の外出は控えてほしい」と話した。

除雪出動式で披露された新たな除雪車。昨冬の大雪を受け、情報関連などの対策も進めている(17日、上越市の高田城址公園オーレンプラザ前)

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