新型bZ4Xと新型ソルテラはソーラーパネル充電だけで年間1800キロ走行可能! 30年で大きく進化した車載ソーラーパネルの歴史を振り返る

2022年央にも市販化される予定のトヨタ 新型bZ4Xとスバル 新型ソルテラ。これらモデルはトヨタとスバルが共同開発した電気自動車であり、特徴的なデザインとあって大注目されているモデルたちだ。じつはこのモデルで注目すべきはルーフに隠されており、オプション設定されるソーラーパネルの性能が凄まじいのだ。そう、ソーラーパネルで生成された電気だけで年間1800kmも走行可能なのだ。かつて販売されていたクルマにもソーラーパネルを装着していたモデルは相当数あったが、これらモデルの性能とはほど遠いものであった。そこで今回はかつて販売されていたソーラパネル装着モデルを振り返りながら、今後の展望を考えていこう。

トヨタ 新型BEV(電気自動車)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」日本仕様・プロトタイプ車両[2022年・年央発売予定] ※撮影車両はプロトタイプのため市販仕様とは細部が異なる[Photo:和田 清志/2022年11月10日・TOYOTAオールラインナップ試乗会場(神奈川県横浜市)にて撮影]

新型bZ4Xとソルテラはソーラーパネルだけで年間1800キロ走行可能!

2021年10月29日(金)にトヨタ 新型bZ4Xとスバル 新型ソルテラの詳細が発表され、2022年央にも発売される予定だ。この2モデルはトヨタとスバルが共同開発して誕生した電気自動車である。価格は未発表ながら、今世界的に流行しているSUVモデル、そして電気自動車とあって大注目されている状況だ。

じつは新型bZ4Xとソルテラは、ソーラールーフパネル装着モデルが設定されるのだが、この性能が凄まじいのだ。ソーラーパネルは1年間で1800km走行分に相当する発電量が生成されるという。

これは航続可能距離がネガティブな面として捉えられている電気自動車にとって非常に嬉しいニュースである。その一方でかつて販売されていた日本車にもソーラーパネルを備えていたモデルがいくつか存在したのだ。そこで今回は過去のソーラーパネル装着モデルの性能を振り返ってみたい。

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30年以上前からソーラーパネルが使われていた!? マツダ 初代センティアは換気と充電機能を搭載

まずはマツダ センティアだ。このモデルはトヨタ クラウンなどに相当するラージセダンで、初代モデルは1991年に登場した。センティアは流麗なスタイルを大きな特徴に、V6エンジン+FRというパワートレーンを搭載しており、その意味では2022年に登場するラージ商品群のセダンの先祖的存在とも言える。

1991〜95年まで生産されたマツダ センティア。車線変更や狭い道の走行時に嬉しい4WSやソーラーパネル付きサンルーフなど当時考えうる最新の機能を搭載していた

初代センティアのトップグレードとなるエクスクルーシブには、正式にはソーラーベンチレーションという名称のソーラーパネル付ガラスサンルーフが設定されていた。

ソーラーベンチレーションはソーラーパネルで生成した電気でラゲッジスペース内のファンを回し、暑い時期には車内の熱気を抜く換気を行い、余った電気は12Vバッテリーにチャージされるという当時としては画期的なものだった。

ソーラーベンチレーションは初代センティアのほかMS-8、ユーノス800にも設定されたが、バブル崩壊後にマツダがピンチに陥ったこともあり、短命に終わってしまったのだった。

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3代目プリウスはハイブリッドの特性を生かした機能! 車外からエアコン操作も

2009年に登場し、低価格などを大きな理由に爆発的ヒット車となった3代目プリウスにもソーラーパネルを装着するモデルが存在した。ルーフ前方にアウタースライドサンルーフ、ルーフ後方にソーラーパネルが着くソーラーパネル付ムーンルーフが設定されていた。

3代目プリウスにメーカーオプションで設定されていたソーラーパネル付ムーンルーフ。スマートキーからエアコン操作できるとあって夏場などにはかなり活躍してくれること請け合いであった

3代目プリウスのソーラーパネル付ムーンルーフは生成された電気でファンを回し、車内の熱気を換気するというのは初代センティアと同じであった。加えて、ハイブリッドカーのため電動エアコンなのを生かし、乗車前にスマートキーからエアコンをオンにでき、車内を快適な環境にして走り出せる機能も備えていた。

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初代リーフは小さなソーラーパネルを搭載! 電動品の電気を発電

初代リーフはリアスポイラーに取り付けられていただけに、発電性能もそれほど大きなものではなかった。そのため駆動用バッテリーに充電されるわけではなく、あくまで電装品に特化していた

2010年登場で世界初の量産電気自動車となった初代リーフも、リアスポイラーにソーラーセルモジュールという名称のソーラーパネルを上級のGグレードに装備していた。

初代リーフのソーラーセルモジュールは装着位置がリアスポイラーというため面積も小さく、役割は生成された電気は12Vバッテリーの充電補助に使われるだけであった。メリットは薄いというのが率直なところで、現行リーフにソーラーパネルの類は設定されていない。

現行プリウスもソーラー発電の電気を走行に生かしている! 1日5.5キロ分充電可能

2017年登場の現行プリウスPHVにはGRスポーツ以外の全グレードにソーラーパネルがメーカーオプション設定される。発電量は1日あたり平均2.6km分、最大1日あたり5.5km分と、28万6000円の価格との折り合いはともかくとして、プリウスPHVを走らせることが可能だ。

30年で目まぐるしく進化したソーラーパネル! 将来は充電入らずのEVが誕生する可能性も

トヨタ 新型bZ4Xやスバル 新型ソルテラとプリウスPHVのソーラーパネルの性能を比べると、面積も考慮する必要もあるにせよその進化は著しい。そのため駐車環境や価格によっては、今後クルマに着くソーラーパネルは注目される装備になるかもしれない。

そして近い将来は充電施設を使うことなく、ソーラーパネルだけで走行できる市販モデルが登場する可能性も考えられるのだ。それだけに今後の電動化モデルの進化に注目だ!

【筆者:永田 恵一】

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