日本S第3戦以降は「点の取り合いになる」 専門家が予想する根拠と“キーマン”は?

オリックス・中嶋聡監督(左)とヤクルト・高津臣吾監督【写真:荒川祐史】

「第3戦からは両チームの先発投手の質がやや落ちる」

ヤクルトとオリックスが対戦している「SMBC日本シリーズ2021」は1勝1敗で、23日から舞台を東京ドームに移して行われる。第1戦はオリックス山本由伸投手とヤクルト奥川恭伸投手、第2戦は宮城大弥投手と高橋奎二投手が手に汗握る投手戦を展開。先発投手の失点は、オリックスが2試合で計2点、ヤクルトは1点しかなかった。だが、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「第3戦から第5戦は一転、点の取り合いになる」と予想する。

「オリックスは山本、宮城、ヤクルトは奥川、高橋の“2トップ”が既に投げ終えた。あの4人が実力を発揮したのだから、なかなか点が入らないのは無理もなかった。失礼な言い方になってしまうが、第3戦からは両チームの先発投手の質がやや落ちる。これまでのような、お互いに全く打てない試合にはならないのではないか」と野口氏は見る。

順番はさておき、第3戦から第5戦の先発投手はオリックスが田嶋大樹投手、山崎福也投手、山崎颯一郎投手、ヤクルトは原樹理投手の状態が不透明ながら、小川泰弘投手、石川雅規投手、高梨裕稔投手らが候補に挙がる。

ただ、11日のCSファイナルステージ第2戦でロッテを6回3安打無失点に封じた田嶋は、対ヤクルトとなると、5月29日の交流戦(京セラドーム)で5回9安打6失点KO。さらに、2018年6月10日の交流戦(神宮)でも4回途中8失点KOを喫している。通算の対戦防御率は15.12で、野口氏は「田嶋は今季優勝の原動力の1人ですから、日本シリーズで先発させないという選択肢はありえない。ただ、この相性の悪さは気になります」という。

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

クライマックスシリーズから苦しむ山田哲人の復調は?

打撃戦になるとすれば、両チームの打線の鍵を握るのは誰か。野口氏は「オリックスは2番の宗が好調なだけに、3番の吉田正、4番の杉本の後を打つ5番打者が大事になります。T-岡田かモヤのどちらかになるでしょう」。ちなみに、第1戦の5番はT-岡田が務め4打数1安打。第2戦はラベロが5番に打順を上げたが、3打数ノーヒット1併殺に終わり、T-岡田はベンチ待機。モヤが代わりに「6番・一塁」でスタメン出場していた。

一方のヤクルトは、3番を打つ山田哲人内野手がここまでの2試合で、8打数1安打5三振と苦しんでいる。CSファイナルステージから不振が続いており、野口氏は「タイミングが取れていないため、速球には振り遅れるし、本来は選球眼が非常にいい打者なのに、ボール球を振らされている」と言う。山田のバットが快音を響かせるかどうかで、ヤクルトの得点力は大きく変わってくる。

ただでさえ舞台は、本塁打が出やすいといわれる東京ドームである。第3戦から第5戦は、これまでとは全く違う味わいの試合を楽しめそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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