軍艦島30号棟「余命半年程度」 国内最古の鉄筋アパート 東大大学院、野口教授が予測

© 株式会社長崎新聞社

建物南側の崩落箇所が拡大している「30号棟」(手前)=2020年9月8日、長崎市、端島(同市提供)

 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つ、長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)の保全と活用を考えるシンポジウムが市内であり、風化が進むアパート群を調査している東大大学院の野口貴文教授(建築材料学)は、階全体が崩落する「余命」の予測結果を報告。国内最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」について「あと半年程度」と明かした。
 野口教授は市の委託で2011年以降、アパート群のコンクリートに含まれる塩分量や鉄筋の腐食など劣化の状況を調査。建物の柱や梁(はり)ごとに劣化度や耐震性でランク分けし、建物全体を評価した。
 調査結果を基に建物や柱の位置、雨のかかり具合による影響度を踏まえ劣化度の変化を予測。地震や台風の発生確率を加味して昨年2月、予測結果をまとめた。
 15年9月を起点にした「余命」は▽30号棟(建築1916年)6.7年▽16~20号棟(同18~22年)26.2~49.2年▽65号棟北棟、東棟、南棟(同45~58年)18.1~77.7年-など。
 市世界遺産室によると、7階建ての30号棟では昨年3月、南側の5階から屋上にかけ梁や外壁、床の一部が崩落。その後、新たに西側でも一部崩落が見つかり、南側の崩落箇所は拡大している。昨年9月に撮影した映像では屋上部分のひび割れも確認された。市は劣化が著しく「保存が困難」として補修の対象にしていない。
 島内の建造物全てを残すには1千億円以上の予算が必要とみられる。野口教授は「PFI(民間資金を活用した社会資本整備)的なものを組み込みながら予算をいかに確保できるか。活用策を形にして新たな価値が見いだせると示していくべき」と提案した。
 シンポジウムは21日、軍艦島デジタルミュージアム(同市松が枝町)を運営するユニバーサルワーカーズ(同市)が主催。約120人が聴講した。