日本ジオパーク審査員 五島列島 現地調査 認定課題解決へ「前進している印象」

市民ガイド(右)の説明を聞く中田委員長(左)ら審査員=五島市、鬼岳

 日本ジオパーク認定を目指している長崎県五島市で19~22日、学識経験者らでつくる日本ジオパーク委員会(委員長・中田節也東京大名誉教授)の現地調査があった。
 ジオパークは、貴重な地形や地質などのジオサイト(見どころ)を指定。その成り立ちや生態系、人々の暮らしとの関わりを学びながら地域の価値や魅力を知る取り組みで、保全、教育、観光につなげる。日本ジオパークは44地域あり、このうち島原半島など9地域は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークにも認定されている。
 五島列島は、大陸から流れた砂や泥が堆積した「五島層群」や火山活動で形成され、生態系や文化面で大陸と関係が深いのが特徴。2017年に官民でつくる五島列島ジオパーク推進協議会(会長・野口市太郎市長)を設立。19年に申請したが、認定を見送られたため、普及活動や市民ガイドの養成など再挑戦に備えてきた。来年1月下旬に認定の可否が決まる見込み。
 現地調査には、中田委員長ら審査員3人が訪れ、20、21両日は、ジオサイトなど市内各地の約20カ所を巡回。火山の鬼岳では、噴火で流れ出た溶岩が平たんな台地をつくり、農業など住民の暮らしに結び付いていることや、周辺の鐙瀬(あぶんぜ)海岸では、南方系の海岸植物が見られることなど、市民ガイドの説明に質問を挟みながら聞いていた。
 中田委員長は取材に「火山と人々の暮らしとのつながりが、うまく説明されていた。(2年前の認定見送りの)課題だったジオパークで何を目指すかや、住民との考え方の共有などは、解決に向け前進している印象を受けた」と述べた。

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