【日本S】日本S第3戦以降の「勝敗を分けるポイント」 専門家が見た両球団の“誤算”とは…

オリックス・中嶋聡監督(左)、ヤクルト・高津臣吾監督【写真:荒川祐史】

野口氏の指摘「ここからは両チームの継投策が勝敗を分けるポイント」

ヤクルトとオリックスが戦う「SMBC日本シリーズ」は1勝1敗のタイで、23日からは舞台を東京ドームに移して第3戦から第5戦までが行われる。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野口寿浩氏は「ここからは両チームの継投策が勝敗を分けるポイントになる」と指摘する。

野口氏は第1戦、第2戦を振り返り「両チームにとっての誤算は、お互いにリリーフの投手が点を取られた、もしくは点を取られなかったとしても決してスンナリとはいかなかったことでしょう」と分析。「第3戦から第5戦は継投のタイミング、人選、実際にマウンドへ上がったリリーフ投手の出来の3つが鍵を握る」と見ている。

第1戦はヤクルト先発の奥川が7回1失点、オリックス先発の山本も6回1失点と互いに好投した。だが、オリックスは同点の8回に登板したヒギンスが、村上に勝ち越し2ランを被弾。ヤクルトはセットアッパーの清水が8回に登板し、無失点で切り抜けたものの、制球が定まらず1安打1四球。1イニングで32球を要した。そして9回には、守護神のマクガフが2点リードを守れず。1死も取れないまま、3安打1四球で痛恨の逆転サヨナラ負けを喫した。

オリックス・平野佳寿【写真:荒川祐史】

「増井に勝ちパターンの7、8回を任せてもおかしくない」

第2戦はヤクルトの高橋が9回5安打無失点の完封勝利を飾り、オリックスの宮城も7回2/3を1失点と快投した。ただ、オリックスはバルガスが1点ビハインドの9回に登場したものの、こちらも手痛い追加点を献上した。先発投手はそれぞれ、付け入る隙を見せなかったが、2試合ともに投手交代をきっかけに試合が動いた

野口氏はヤクルトの守護神マクガフについて「高津監督の性格から言って、ここまで来て抑えを替えることはないと思う」とした上で「第3戦からは両チームとも先発投手の質がやや落ち、継投勝負になると思う。延長戦も最大12回までありうる。ヤクルトは今野、スアレス、田口、石山といったリリーフ陣が、清水とマクガフの負担をどれだけ軽減できるかにかかっている」と指摘する。

一方、オリックスは守護神の平野にいまだ出番がない。野口氏は「外国人投手をこれ以上起用するのはリスクが高い。第1戦、第2戦で好投した吉田凌と比嘉、左腕の富山らでしのいでいくことになるのではないか」と予想。さらに「レギュラーシーズンでは主に先発として起用されていた増井も、CSファイナルステージ第3戦ではリリーフで好投した。もともと抑えの経験も豊富な投手だから、勝ちパターンの7、8回を任せてもおかしくない」という。

継投策は、ヤクルト・高津、オリックス・中嶋両監督が得意とするところでもある。指揮官として初めて踏んでいる日本シリーズの大舞台。いよいよ腕の見せ所が訪れそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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