【那須雪崩事故】県側「和解案」応じず 民事調停、遺族側は徒労感

宇都宮地裁・簡裁・家裁

 栃木県那須町で2017年3月に大田原高の生徒7人と教諭1人が亡くなった雪崩事故で、遺族の一部が県(県教委)や県高校体育連盟などに事故の責任を認め謝罪するよう求めた民事調停の7回目の期日が22日、宇都宮簡裁で開かれた。遺族側によると、県側は遺族側が示した和解案に応じない姿勢を見せた。

 調停は非公開。遺族側の和解案は、講習会責任者だった教諭3人の重大な過失を認めた上で、県側が3人に賠償を求めることを条件にしていた。今回の調停で県側は「職務執行体制が悪かった。3教諭だけの責任ではない」と主張したという。遺族側は3教諭の調停への出席を求めていたが、今回も出席しなかった。

 調停は申し立てから1年7カ月が経過した。長男公輝(まさき)さん=当時(16)=を亡くした奥勝(おくまさる)さん(50)は「話し合いで分かり合える結果を作っていきたかったが、打つ手がなくなってきた。なんなんでしょうね、本当に」とうなだれた。

 同校山岳部第3顧問だった毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(69)は「一般市民が権力に訴えても、何もできないという気持ちになる」と嘆いた。

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