【新体操】引退の皆川夏穂がラスト演技 満身創痍だった「これ以上酷使すると危ない」

観客を魅了した皆川夏穂(東スポWeb)

最後まで輝かしい笑顔は健在だった――。2016年リオデジャネイロ五輪新体操個人代表の皆川夏穂(24=イオン)が23日、千葉県内で行われた所属先・イオン新体操クラブの演技会に登場。現役生活最後となる演技で観客を魅了した。

4歳から新体操を始めた皆川は、中学時代に全日本ジュニア選手権で2連覇を達成した。13年からはロシア留学で心技体を磨き、16年には日本勢で3大会ぶりとなる個人での五輪出場を果たす。17年世界選手権はフープで銅メダルに輝き、日本選手では個人種目別で42年ぶりとなる表彰台に立った。

しかし、内出血の影響による圧迫で血行障害を引き起こし、筋腱神経組織が壊死(えし)する「コンパートメント症候群」により、右脚の状態が悪化。20年12月に手術を受けた。現在は7割ほどまで回復したが、体は悲鳴を上げていたという。

演技会後の引退会見で皆川は、左四肢骨や肩などにもケガを患っていたことを明かした上で「これ以上酷使すると危ないかなって感じだった。ケガがたくさんあって、それを抱えながらあと3年間(パリ五輪まで)やり続けるのは厳しいと感じている部分があった」と神妙に語った。

晩年はケガに泣かされたものの、新体操界を引っ張ってきた。報道陣から「どんな新体操人生でしたか?」と問われると「本当にたくさんの方々の支えがあってここまで来れた。本当に感謝の気持ちでいっぱい。新体操に出会えてよかった。本当に幸せな新体操人生でした」と笑みを浮かべた。

今後は指導者として第二の新体操人生を歩む皆川。次は選手の育成に全力を注ぐ。

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